楽天打線を今も支える二人を「同時下位指名」、2011年ドラフト
毎年行われるドラフト会議で、指名した全員が1軍で華々しい活躍をすることはない。複数人の主力が出てくることも、そう多くはない。レギュラーや先発ローテーション投手、勝ちパターンといった主力が、同一のドラフト会議から生まれたら、それは”大当たりドラフト”と言っても過言ではない。
近年、各球団に大当たりドラフトはあったのだろうか。高校生と大学生社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降のドラフトで振り返ってみたい。
今シーズン最終戦で敗れたため、4位に終わった楽天の生え抜き選手を見ると、ドラフト年度がバラけている。分離ドラフト時代の2006年には田中 将大投手(高校生1巡/駒大苫小牧出身)、永井 怜投手(大学生社会人1巡/東農大二出身)、嶋 基宏捕手(大学生社会人3巡/中京大中京出身)、渡辺 直人内野手(大学生社会人5巡/牛久高出身)といった大当たりドラフトがあったものの、2008年以降はここまでの大当たりは見られない。
そのなかで2011年のドラフト会議では、長きに渡って主力を務める岡島 豪郎外野手(関東学園大附出身)を4位で、島内 宏明外野手(星稜出身)を6位で指名した。
岡島は捕手としての入団だったが、2013年に外野手へコンバートされ定位置を獲得。日本一に大きく貢献した。以降は故障もあり、さらには捕手に登録を戻したシーズンもあり、紆余曲折あった。それでも2021年には5年ぶりに規定打席に到達。今シーズンも規定打席にこそ届かなかったが、114試合の出場で打率.266(361打数96安打)と結果を残した。
島内はルーキーイヤーから41試合に出場。2年目の2013年には97試合の出場で日本一に貢献した。2016年にレギュラーに定着して以降は、主力選手としてチームを引っ張っている。2021年には打点王、2022年には最多安打を獲得しベストナインを受賞した。通算1146安打は球団2位の記録となっている。
この2人ほどの活躍はできなかったものの、3位で指名され、今シーズン限りで現役を引退する三好 匠内野手(九州国際大付出身)は、楽天と広島の2球団で活躍。2019年に広島へ移籍した後は主に守備固めとしてチームを支えてきた。
ドラフト2位の釜田 佳直投手(石川・金沢高出身)は、1年目から7勝4敗、防御率3.28の大活躍。将来のエース候補として躍動した。しかし度重なる故障に悩まされたこともあり、以降は2016年に7勝を挙げたのが目立つのみと苦しんだ。結果的にルーキーイヤーがキャリアハイとなった。
ドラフト1位の武藤 好貴投手(札幌藻岩出身)は2015年に60試合の登板で4勝を挙げたものの、その他のシーズンでは結果を残せず2017年に現役を引退した。
<2011年ドラフトにおける楽天の指名選手一覧>
1位:武藤 好貴(札幌藻岩ー中京大ーJR北海道)
2位:釜田 佳直(石川・金沢)
3位:三好 匠(九州国際大付)
4位:岡島 豪郎(関東学園大附ー白鴎大)
5位:北川 倫太郎(明徳義塾)
6位:島内 宏明(星稜ー明治大)
育1位:神保 貴宏(北海道栄ー平成国際大ートータル阪神ートランシス)
記事=勝田聡