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岐阜第一、県岐阜商が有力か「センバツ1枠増」東海地区大会を展望する

2023.10.18


森 厳徳(県立岐阜商)

この秋の東海地区大会は、センバツ出場枠がこれまでの2校から1枠増で3校となったということで、より注目されるようになった。今年は、愛知県や三重県などで常連と言われている学校ではなく、豊橋中央(愛知)や神村学園伊賀(三重)の初出場組や、久し振りとなる鈴鹿(三重)に、静岡県からもこの夏の甲子園出場を果たしてはいるが、秋の東海大会は初めての出場となる浜松開誠館(静岡)など、印象としてはフレッシュな顔ぶれかなという印象でもある。そんな中で、開催県の岐阜県勢は岐阜第一と県立岐阜商中京と、いわば常連と言われている学校が揃った。開催県の岐阜県勢が中心となって展開していくのではないかと思われる東海地区大会を組み合わせから展望してみた。

静岡県1位校の藤枝明誠に挑む形になるのは岐阜県2位の県立岐阜商豊橋中央の勝者ということになるが、県立岐阜商はエース森 厳徳投手(2年)をはじめ、大東 要介捕手(2年)など、夏の経験者も多く、チームとしての層も厚い。それに挑む豊橋中央は、県大会では萩本将光監督の恩師でもある大藤敏行監督率いる享栄を下すなどして県大会3位に食い込んで、初めての東海大会出場となった。1年生ながら、髙橋大喜地投手はポテンシャルも高い。百戦錬磨の県立岐阜商にどこまで食い下がれるかというところであろうか。総合力と経験値では県立岐阜商がやや上回る。

藤枝明誠は図抜けた選手がいるというワケではないが、「負けない野球」をテーマに掲げ、まとまりのよさで静岡県大会を制した。夏からのメンバー、主将の一瀬 友希内野手(2年)や皆川 晧也捕手(2年)らが中心となり、手堅い野球を仕掛けていく。

夏も愛知大会を制して3年連続夏甲子園出場を果たしている愛工大名電は、この秋も県大会を制した。左腕の大泉 塁翔投手(2年)が注目されるなど、個々のポテンシャルは高い。これに挑むのが、日大三島(静岡)と三重県2位となった鈴鹿の勝者。永田裕治監督が就任して、すっかり静岡県の上位常連校となっている日大三島鈴鹿がどう挑むのかというところが注目される。鈴鹿は県大会6割超えの中井 泰庸外野手(2年)や主将の中村 悠真内野手(2年)らを軸に堅い守りを持つ。1998年以来のセンバツ出場を目指したいところである。

素材力ということでいえば愛工大名電が1つ上かと思われるが、日大三島が勝ち上がれば分からない。

地元開催の1位校となった岐阜第一。かつて福知山成美を何度も甲子園へ導いた田所孝二監督は、「東海大会は1位校の特典があるので、それを生かさなあかん」と、1位校となった段階で、2001年以来のセンバツ出場に焦点を絞っている。水野 匠登投手(1年)と永安 弘和捕手(1年)のバッテリーをはじめ、兼松 秀真内野手(1年)や上農 奎人内野手(1年)ら、1年生が6、7人先発に名を連ねる若いチームだが、勢いに乗ると面白い。岐阜大会決勝では、永安捕手の故障などで万全ではなかった中で、初回3点を奪われながらも県立岐阜商に逆転勝ち。力のあるところを示している。県大会ではマスクを被った阪口 笙内野手(2年)の打撃も注目される。

その岐阜第一に挑むのが愛知県2位の豊川と初出場の神村学園伊賀の勝者だ。豊川は注目の主砲・モイセエフ ニキータ外野手(2年)の前に、いかに走者を溜められるのかということがポイントになる。モイセエフは、走者がいる場面での勝負強さは定評がある。投手陣はクセ球が持ち味のミラクルな鈴木 爽太投手(2年)と中西 浩平投手(1年)も力がある。県大会準々決勝で東邦に競り勝ったことでも自信を深めている。

神村学園伊賀は創部4年目。部員数は多くはないが、1次予選では中地区大会で鈴鹿を下して1位通過し、シード校となった県大会でも津田学園を下すなどしてベスト4に進出。準決勝では宇治山田商に敗れたものの、3位決定戦では、近大高専に1次予選の返り討ちで勝利して初の東海大会進出を決めた。主将の寺井 広大内野手(2年)が攻守で引っ張るが、フレッシュな戦いぶりが期待される。

三重県1位の宇治山田商は中村 帆高投手(2年)と植田 倖大投手(1年)らを軸に、1次予選から県大会まで、安定した戦いで勝ち上がってきている。2008年以来のセンバツ出場を狙いたいところである。166センチと小柄だが伊藤 大惺内野手(2年)が打線を引っ張る。

これに挑む形になるのが、夏の代表校で静岡県2位の浜松開誠館と岐阜県大会3位に食い込んだ中京だ。浜松開誠館は夏からほぼメンバーは一新されたが、積極的に打っていく野球は健在だ。経験のある主将の加藤 蔵乃介内野手(2年)が引っ張り甲子園のベンチ入りしていた松井 隆聖投手(2年)や188センチの長身、伊波 龍之介投手(2年)など、楽しみな逸材も多い。中京は、昨年秋季県大会で優勝した昨年のチームなどに比べるとややスケールが小さいという印象は否めないが、寺戸 大凱投手(2年)と桑田 剛心投手(2年)の左右の投手は安定している。県大会は継投で凌いできたが、場合によっては、主将でもあり4番を打つ三塁手の三浦 暖都内野手(2年)も登板することがある。

東海地区では枠が1校増えたことで、センバツ出場ということを意識すれば、準決勝の戦い方も、これまで以上に重視されることになってくる。今大会の勢力を見ると、開催県の岐阜県勢としては2007年以来の2校代表選出の可能性も十分にある。愛工大名電も3年連続出場を果たした夏に続いての連続出場の可能性もある。他にも、フレッシュな顔ぶれや久々に躍進しているところの躍進も期待したいところではある。

(文/手束仁)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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