都立城東vs総合工科
城東・藤森晴久君
昨夏ベスト4の都立城東、ここへきて仕上がりの良さを示し総合工科に連勝
<交流試合:都立城東4-2総合工科、都立城東7-1総合工科>◇25日◇総合工科グラウンド
もう、あれから20年以上になる。都立城東が2年ぶり2度目の甲子園出場を果たしたのが2001年夏。21世紀になって最初の夏の甲子園でもある。その時に4番を打っていた内田稔三塁手が、今、母校都立城東を率いている。都立城東は、昨夏も東東京大会ではベスト4に進出して、都立の雄として気を吐いた。
この春も、チームとしての力はあると評価は高かった。しかし、春季東京都大会では1回戦で東京都市大付に快勝したものの、2回戦では目黒日大に競り負けている。内田監督は、「力としてはこんなもんですよ」と言っていたが、それからか2カ月半以上経過して、チームとしても夏へ向けて課題を修正しながら練習を重ねてきた。
総合工科は、1次予選の会場校でもあるが、このチームは秋も、春もブロック予選を突破することができず、やや悔しい思いをしてきた。それでも、最後の夏へ向けて、何とか結果を残したいという思いである。世田谷工時代から、閑静な住宅街の一角にあるグラウンドは、都心にある学校としては、非常に恵まれた環境だとも言われている。その環境も生かしたいところでもある。
試合としては、1試合目の都立城東は藤森 晴久投手(3年)、総合工科は川村 祐真投手(2年)がそれぞれ、お互いに持ち味を出し合って、0で抑えていく投手戦の展開となった。そして、5回に都立城東が1番・櫛谷 俊太捕手(2年)の二塁打で先制すると、7回に総合工科は7番・昆野の適時打で同点として、なおも続く好機で1番の川越 悠登内野手(3年)が中前打して逆転。試合としても僅差で競り合っていく、いい展開となった。
その直後の8回、都立城東は2番・髙橋 康輔(3年)の二塁打と続く北見の右前打ですぐに同点とすると、捕逸で逆転。さらに相手失策もあって追加点を奪った。こうして、競り合う展開で最終的にリードを奪っていかれるというところに、やはり都立城東の勝負強さがあったとも言えようか。
都立城東は、例年以上に仕掛けていく戦い方で、2試合目も走者を出すと、しきりに盗塁を試みたり、積極的な走塁が目立った。「積極的な走塁となっていくのは、打てないからですけれどもね」と苦笑いしつつも、「積極的に走れるようにするためには、アウトになったとしても怒らないことです」という姿勢を基調としていた。
なお、総合工科は、この日は試合の後には、夏の大会へ向けて保護者会による壮行会も予定されているということだった。弘松恒夫監督は、「こうして、周囲から応援していただける体制もあるので、それに対して、何とかいい形で応えていきたい」という思いでいっぱいだという。
夏の選手権の組み合わせも決まったことで、いよいよ選手たちも最後の夏へ向けて、意識も高まっていく時期でもある。ことに、今年の3年生たちは、入学した時がコロナのピークでもあり、十分な形でない中での高校生活が始まって、部活動そのものがなかなかできないという状態でもあった。それでも、そんな中で野球をやろうという意図で入部して、可能な環境の中で練習を積んできたという世代でもある。
さらには、今の2年生たちは中学時代から満足に練習ができなかったという世代だ。それを、経験値としてはあまりにも気の毒なのだけれども、それでも高校野球を続けていきたいという選手たちである。そんな選手たちに、やっと、ほぼ従来の形で迎えられるようになった夏だけに、悔いのない戦いをしてほしいという思いである。それは、どこの指導者たちも同じ思いであろう。
周囲で見守る側としても、こうして、夏の大会への思いは高まっていく。
記事:手束 仁