岩倉vs都立調布南
都立調布南の勢いに序盤は苦しんだ岩倉、6回大量点で決着
都立調布南バッテリー
112校が参加した春季東京都大会だが、1日から始まったが早くも2回戦に突入。この1週間で、一気にベスト8まで決まってしまうので、チームとしては勢いに乗ることも大切になってくる。一次ブロック予選から勝ち上がり、本大会でも初戦で駿台学園を下した都立調布南は勢いに乗っている。その勢いは、強豪岩倉に対しても、ひるまず向かっていく形で表れた。
初回に、岩倉は二死走者なしから安打と四球でチャンスを作ると、5番森本克哉君が中前打して先制するが、都立調布南もすぐに2回、二死二塁から檮木亮介君が右前打で帰して追いつく。すると、3回には、岩倉が一死二塁から3番涌井和人君の左中間二塁打で再び突き放す。
しかし、岩倉の投手陣はもう一つ制球が不安定だった。3回から先発の高橋大地君をリリーフした丸山和輝君だったが、4回は5四死球のボークと押し出しで都立調布南の逆転となる。都立調布南の積極的に行こうという姿勢で相手にプレッシャーを与えていたところもあったのかもしれないが、丸山君はリリースポイントがばらつきすぎていて、どうにも制球が定まらなかった。
結局5回に二死から連続四球を与えたところで、岩倉の豊田浩之監督はたまらず、エースナンバーをつけている三田知樹君を送り出した。ただ、三田君もこの回こそ三振で切り抜けたが、6回には2四球を出すなど、もう一つ制球が定まり切らなかった。
1点のビハインドで追いかける岩倉としては7人の左打者がズラリと並んでいたが、都立調布南の五味進一君を打ちあぐみ、内側の球を打ち切れないでいた。いささか焦りも出てくるところでもあったが、6回には豊田監督は、「バットを一握り短く持って、コンパクトに振り切りなさい」という指示を出したが、それが功を奏した。
三番手で登板した三田知樹(岩倉)
この回、一死から森本君が左中間二塁打すると、鈴木大誠君も続き二、三塁。死球もあって、満塁となったところで、8番山嵜弘平君が右前へポテン安打して同点。さらに、9番に入っていた三田君が三遊間を破って逆転して、なおも満塁。ここで、山田航大君がこの日一番のシャープな当たりで、右中間をライナーで破っていく会心の三塁打で走者一掃。さらに、山口龍哉君の左犠飛でこの回6点というビッグイニングとなった。これで、岩倉はやっと、ベンチのムードも明るくなってきた感じだった。
7回にも、無死で四球とバント野選に失策で満塁とすると、途中からマスクを被り7番に入っていた八代唯人君が右線に落として、2者が帰って7点差となりコールドゲームが成立した。
最後は、何とか力の差を見せつけた岩倉だったが、序盤は試合の流れそのものもよくなかった。また、投手陣が制球で苦しんだのも痛かった。
豊田監督は、さすがに渋い表情だった。「先発した子は、この春初めてベンチに入ったくらいですが、よく練習して努力するので、何とか結果を残してほしかったのですが…」と、残念がった。また、期待の2年生投手陣がこの日投げた丸山君も含めて故障などもあって、もう一つ調整不足だったのも痛かったようだ。「三田を温存したいということではなくて、無理させたくなかったということもあったのですが、出さざるを得ないような展開になってしまいました」と、振り返った。前半は都立調布南の勢いに押されて受け身だった展開となり、何とか流れを変えていかれたことで、何とか攻撃に転じていかれたという形になった。
都立調布南は、登録メンバーは15人だが、きっちりとまとまって、自分たちの試合は出来たという形だったのではないだろうか。ただ、四死球は多くもらったものの、結果としては2安打では、やはり勝ちきるには苦しかった。
(取材・写真=手束仁)
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