日本ハムの“長身高卒ルーキートリオ”が順調な成長を見せている。ドラフト1位・柴田 獅子投手(187センチ・福岡大大濠)、ドラフト2位・藤田 琉生投手(198センチ・東海大相模) 、ドラフト4位の清水 大暉投手(192センチ・前橋商)の3人だ。直近の二軍登板で内容のある投球を見せた。
柴田は2回5奪三振、無失点の投球で最速151キロをマーク。藤田、清水も1回無失点に抑え、ともに150キロをマークしている。今後の可能性について元阪神の福永春吾氏に語ってもらった。
まず柴田については「『本当に高卒1年目の投手?』と思いました。それぐらいすごい投球をしています」と絶賛する。高校時代からフォーム技術の向上が成長につながったと語る。
「高校時代は荒々しさはありましたが、今ではだいぶまとまりが出ました。高校時代はまだ体に秘めるパワーだけしか投げていなかったのが、自分の投球フォームを確立して、ボールの力強さも出てきました。それに加えて、変化球の精度も増しています」
投球技術は申し分ない。今後は長いイニングでのクオリティ維持が課題と見ている。
「投球について高卒1年目としては特に言うことがありません。あとはイニングを投げる体力、試合をこなす体力が求められます。それをクリアできれば、チーム状況によりますが、1年目の後半には一軍で投げられる可能性もあります。非常に楽しみな投手ですね」
198センチ左腕の藤田は「まさに大型左腕と呼ぶに相応しい投球スタイルです。彼も高卒から入ったとは思えないほど完成度が高いですね」と高評価。縦回転で投げられるフォームは稀有な技術だという。
「長身投手で、しっかりと振り下ろすことができる投手はなかなかいません。投げやすいように腕の角度を下げたりする投手もいます。長身投手ほど縦の動きで投げるのは難しいんです。藤田投手は、ゆったりとしたフォームから背の高さを活かして、ストレートの角度をつけられているのがいいですね」
藤田は高校時代からナックルカーブ、チェンジアップを決め球にしていたが、福永氏は変化球の精度も高いと評価する。
「今投げている変化球は変化量が多くて、しっかりとまとめることができています。柴田投手とともに将来のエース候補として期待できますね」
192センチの清水についても将来性の高さを評価する。
「柴田、藤田の両投手と比べると、完成度はまだですが、真上から強く投げ下ろす速球が魅力です。この身長と角度のある速球がありますので、プロの世界で自分の武器を磨いていけば、抑えられる投手だと思います。ポジションは先発になるのか、リリーフになるのかは球団の方針によりますが、楽しみです」
そして大きく曲がるカーブを投げられるところに大きな可能性を感じている。
「あのカーブは強みになりますね。長身投手で良いカーブを投げられる投手は、技術的に良いフォークを投げられる可能性があります。どちらも縦振りで投げるための球なんです。清水投手がフォークをマスターすれば、活躍の可能性が高まります」
カーブとフォークを投げる長身投手として阪神で活躍したメッセンジャーの名を挙げた。
「チームメイトだったメッセンジャーは真上からストレート、フォーク、カーブをしっかりと投げわけができていました。清水投手がメッセンジャーのようになれるのか。時間はかかると思いますが、楽しみですね」
福永氏は言う。
「今まで長身で、球速が速い投手は『1、2、3、ドーン!』と勢いだけで投げる投手が多かったのですが、この3人はそういうタイプではありませんよね。うまく体を使って投げているので技術力の高さを感じます。日本ハムのすごみがこの3投手から感じられます」
順調に育成が進んでいる3投手はさらにスケールアップした状態で一軍デビューすることができるのか。今後も次世代のエース候補の投球に注目だ。