引退試合で人生初のホームラン! 前日まで10打数無安打も「バットを握った瞬間、いけると思った」〈仙台六大学〉
<仙台六大学野球秋季リーグ戦:東北大9-0宮城教育大(7回コールド)>◇8日◇第7節2回戦◇東北福祉大
東北大が宮城教育大との今秋最終戦で9対0のコールド勝ちを収め、4年生の引退に花を添えた。2回に7番・鈴木 駿宙内野手(4年=不動岡)の2点本塁打などで5点を先制。その後も4回に3番・中丸 宏平外野手(4年=佼成学園)の2点適時打が飛び出すなど着実にリードを広げた。投げては阿部 哲也投手(3年=都立国立)、三栗谷 凜大投手(4年=都立青山)のリレーで無失点に抑え、快勝した。
0対0の2回、先頭の主将・小林 厳捕手(4年=江戸川学園取手)が四球で出塁する。続く打席には鈴木駿。今秋は前日まで10打数無安打と結果を残せていなかったが、「今日はバットを握った瞬間に、『いける』と思った」。自信を持って真ん中高めの直球をフルスイングすると、打球はぐんぐん伸び、左翼フェンスを越えた。
これが公式戦では“人生初”となる本塁打。「とにかく全力で走ったら入ってくれた。ケガの多い大学生活だったけど、最後の最後にようやくホームランを一本打てて、4年間が報われました」。屈託のない笑顔で、学生野球最初で最後の一発を喜んだ。苦労人の先制弾を皮切りに、東北大打線が勢いづいた。
ベンチ入りした投手陣で唯一の4年生である三栗谷は、6回2死から登板し、この回と7回を抑えた。3年次までは内野手で遊撃を守っていたが、打撃が伸び悩んだことと新チームの投手陣が手薄だったことが重なり、鈴木得央監督から投手転向を勧められた。今春開幕前のオープン戦に「お試し」で登板し、春リーグ終了後からは投手の練習に専念した。
今秋は中継ぎでリーグトップタイの8試合に登板し、8.2回を投げ1失点(防御率1.04)とブルペンを支えた。高校時代に投手の経験があり、投球フォームは当時と変わらないサイドスロー。球速こそ速くないものの、抜群の制球力を武器に、強豪相手にも堂々たる投球を披露した。三栗谷は「ショートで結果を残せなくて、試合に出るために転向した。最後にたくさん投げることができてよかった」と充実した表情だった。
東北大は今秋4勝を挙げるも、結果は5位。それでも、鈴木駿、三栗谷だけでなく、この日出場した4年生全員が力を出し切り、有終の美を飾った。
宮城教育大は今春に続いて全敗での最下位が決定。そんな中、最終節では大川口 颯月投手(1年=東北学院)、野口 武琉投手(2年=仙台一)が好投するなど、明るい材料も見られた。来季の巻き返しに期待がかかる。
(取材=川浪康太郎)