星城vs大同大大同
7点差を追いつかれて延長にもつれ込んだが、星城が10回サヨナラ2ラン
延長10回、サヨナラ2ランを放って三塁ベース回る星城・溝﨑君
<春季愛知県大会:星城9-7大同大大同>◇16日◇2回戦◇熱田神宮公園
シード校として挑んだ昨夏の愛知大会は、愛知啓成に初戦敗退して悔しい思いをした星城だが、昨年は春季と秋季の県大会ではベスト4進出を果たしている。2019年夏にはセンバツ優勝校の東邦を下すなどして、県内一の暴れん坊ぶりを発揮している星城。この春の戦いぶりも注目される存在だ。
大同大大同は名古屋地区一次予選リーグでは名古屋に敗れて2位校の二次トーナメントから名古屋国際、富田を下して県大会出場を果たし、1回戦では好投手のいる向陽を攻略しての進出である。
星城は初回、先頭の田中君が四球で出るとしっかりと送り、3番砂川君の中前打で帰すという効率のいい得点の形で先制した。2回にも失策で出た走者を4番溝﨑君のタイムリーで帰す。そして4回には打者一巡。8番小川君の犠飛と、連続四球に暴投、捕逸などで5点が入って7対0。こうして前半の展開としては、星城のコールドゲームペースと言ってもいいくらいのものだった。
星城のワンサイド気味の展開で進んでいった試合だったが、6回から流れが変わってくる。
5回までは内野安打1本に抑えられていた田島君に対して大同は6回、一死から1番迫間君や4番澤井君のタイムリー打などで1点を返す。コールドを逃れるためには、貴重な1点だった。そして、その裏の無死満塁のピンチを内野ゴロ本塁併殺などで切り抜ける。そして7回、今度は大同が2本の内野安打と死球で無死満塁とする。ここで9番に入っている深澤君が右線へ一掃の二塁打で3点を返す。
さらに四球後バントで一死二三塁として3番大島君が左越二塁打で2人を帰して1点差。前半の展開からは思いもよらないことになってしまった。こうなると、大同も勢いづいてくる。3回途中からリリーフした右横手投げの深澤君も5回からは自分の投球と言うか、走者は出しても上手に相手打線に打たせていく投球で巧みに堪えていた。
こうして終盤は1点を巡る攻防となったが、9回の大同は1番の迫間君からで、右線に三塁打を放つ。後続2人が抑えられ、二死となったものの、4番澤井君が左前にはじき返してついに同点となった。こうなったら、むしろ試合の流れとしては大同に傾いていくかとも思われた。しかし、7回途中からリリーフしていた星城の島袋君も踏ん張った。後続は抑えて延長に突入していった。
10回、大同は風安打で一死から走者は出したものの、島袋君に抑えられる。そしてその裏、星城は3番に入っていた先頭の島袋君が左前打で出ると、頼れる4番の溝崎君は深澤君の好球をしっかりと捉えて左翼へサヨナラとなる2ランを放り込んだ。完全に流れとしては不利になっていたものを見事に振り払った一発だった。
星城の木下秋次監督は、「高校野球は、怖いね。いい流れの試合だったのだけれども、後半は防戦一方でした。代った二人目の横手投げの投手に対して、振り回していってしまい、捉えきれないでいるうちに追いつかれました。ある程度(打線は)振れると自信を持っている子が多いから、そうなってしまったのかな…。それでも、最後は打つべき選手が打ってくれたということでしょうか」と、主砲の溝崎君の一打はまさに値千金ということだった。
(取材=手束 仁)