試合レポート

東海大甲府vs増穂商

2011.09.19

東海大甲府vs増穂商 | 高校野球ドットコム

東海大甲府 本多投手

春へと続く大善戦

 上空は秋空が広がる甲府市。近づいている台風の影響からか日差しは厳しく気温も30度を超えている小瀬球場。
 
今日の第二試合は秋季大会の優勝候補の一角と目されている東海大甲府と増穂商業の対戦となる。
 
夏の大会 プロ注目の打者、高橋周平君を擁したが聖地を前に涙を飲んだ。そのチームからバッテリーを含め2年生が数多く残りタレントと経験は豊富で層が厚い。

対する増穂商業高校は甲府盆地南西部に学校がある。地域性や職業高校への進学者数減もあり最近では峡南高校や市川高校との合併も検討されている。
野球部は強豪とは言いがたく毎年早い段階で姿を消してしまう。
 
大方の予想は東海大甲府の圧勝 新聞紙面も同様で過去の結果、選手層から検討して仕方のない結果である。
増穂商業はワンサイドゲームだけは何とか避け、地力に勝る東海大甲府高校に一矢報いたいものだ。

東海大甲府高校の夏ベンチ入りの投手は3年生を除くと背番号1本多、背番号10の神原が残る。
神原君の成長著しく本多君の夏大会前の不調もあってか、夏大会は神原君の方が投球回数が多い。
先ずベンチ入り選手発表の際 一番最初に読み上げられる背番号1は神原君が背負うことになった。
夏 背番号1の本多君は背番号10. 彼等二人の背番号が入れ替わった。

1回表裏を無得点で切り抜けた両チームは2回の攻防へ。
2回表の増穂商業は2死から6番前嶋君がセンター前にクリーンヒットを放つ。続く打者はファースト正面のライナーでチェンジになるが下位打線が東海大甲府 本多君から良い当たりを連発する。


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三森投手(増穂商)

2回裏の東海大甲府の攻撃。早くも増穂商業に東海大甲府の重量打線が牙をむく。
1死から6番斉藤君が右中間を破る2ベースで出塁。続く7番高岡君の打球はベースより若干前を守っていた三塁手の横をすり抜け長打と思われたが審判に当たる不運に見舞われ単打止まり。
しかし1死1塁2塁でチャンスは続く。 8番本多君を四球で歩かせた後 9番相原君のライト前ヒットで2点先制、続く渡邊君の犠牲フライで更に1点追加して3-0とする。

増穂商業の先発はエースナンバーを背負う三森勇祐君 1年生右腕だ。173cm61kgの体格から120km弱の速球と105km前後のスライダーのコンビネーションで打ち取る投球。ただこの速球 手元で伸びがあり東海大甲府の打者が幾度も詰まらされていた。

3点入った事で東海大甲府打線にエンジンが掛かるかと思いきや3回4回と上述の三森投手に無得点に抑えられてしまう。

しかし打線も3巡目となると捕らえてくる。5回裏の東海大甲府の攻撃は四球とショートゴロの悪送球で無死2.3塁。途中からセンターの守備に入った3番板橋君がスクイズを決め先ず1点追加。4番秋谷君の犠飛で更に1点追加で5-0とする。 その後四球と6番斉藤君のセンターオーバー3塁打で6−0としてリードを広げる。

増穂商業は4回表に2死から4番斉藤君のセンターオーバーを放つが好返球に阻まれ3塁タッチアウト。
得点圏にランナーをすすめることが出来ない。

東海大甲府は6回表から1塁手の秋谷君がマウンドへ向かう。
180cmを超える長身から長い手足を使って投げ込む速球は140kmを記録する。
MAX140km 常時135kmを超える速球と110km前後のスライダーが持ち球の様だ。
交代直後 死球でランナーを出すが9番、1番と連続三振に切って取る。1番望月君を三振に取ったウイニングショットは本日2回目の140kmを計時した直球だった。
しかし2番金子君に138kmの直球をセンター前に運ばれ2死ながら1塁2塁のピンチ。
増穂商業は何とか一矢報いたい所だが、落ち着いて後続をライトフライに打ち取りチェンジ。


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この試合はリリーフ登板の神原(東海大甲府)

6回裏 増穂商業は三森君からショートを守る背番号6の十楽君がマウンドへ上がる。
125km前後の速球、115km前後のスライダーと80km台のカーブを操る。
先頭打者を追い込むものの四球を与えてしまう。送りバンドと1番渡邊君のセンター前ヒットで1死1.3塁のピンチ。
リードを大きく取り揺さぶりを掛ける1塁ランナーの渡邊君。3回目の牽制球で俊足の渡邊君を刺す事に成功。
球場がどっと湧き上がる。 この十楽君にしろエースの三森君にしろ増穂商業の投手陣は牽制が上手い。
2死3塁となり、なんとか無得点で切り抜けたい所だがレフト前へ運ばれ1点を失って7-0にされてしまう。
続く3番板橋君はセンター前へ運び更に追加点のチャンスが続くが4番秋谷君をセンターフライに打ち取り最少失点で切り抜ける。

7回表の東海大甲府はこの回を抑えてコールドに持ち込みたい所で背番号1を背負った神原君がマウンドへ向かう。 ワインドアップから速度のある直球をミットに投げ込む。

先頭の増穂商業4番斉藤君を140kmの速球で三振に打ち取ると、続く5番6番を直球と120km前後のスライダーで連続三振に捕り3者連続三振で完璧なリリーフをしてみせた。

7回コールドで試合終了。
東海大甲府は山梨県大会優勝に向けて幸先良いスタートとなった。
この勢いのままに今後の試合も頑張ってもらいたい。 ただ欲を言えばタレント揃いの集団。
本来の潜在力はもっと高くて然るべきだと感じる。

増穂商業はコールドで敗れたものの善戦の光る好ゲームだった。
東海大甲府からダブルプレーを取ってみせ、牽制でランナーを殺してみせ、再三の好守備も披露した。
これからの課題とすれば、スピードレンジが140kmに近い投手に喰らいついて打ちに行ける打力と2人の投手の球威アップだろうか?特に この2人は随所にセンスを感じさせる部分があり冬のトレーニング如何によっては春以降 面白い存在になってくると思う。
春に向けての大善戦。増穂商にも収穫のある試合だった。

(文・写真=木内 慎治)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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