【仙台六大学】1回戦 東北福祉大 vs 東北学院大
東北福祉大、1対0で勝利 左の大砲・竹中研人が“北海道対決”制す決勝弾
<仙台六大学野球秋季リーグ:東北福祉大1-0東北学院大>◇30日◇第6節1回戦◇東北福祉大
東北福祉大にとっては優勝に向けて、東北学院大にとってはAクラス(3位以内)入りに向けて、負けられない一戦。8回まで両チーム無得点と、手に汗握る展開が続いた。均衡を破ったのは、東北福祉大の3番・竹中 研人内野手(4年=駒大苫小牧)の一発。9回、同郷で同学年の相手先発・古谷 龍之介投手(4年=北星大附)から右翼席へ飛び込むソロ本塁打を放ち、これが決勝点となった。
東北福祉大打線は8回までに4度、先頭打者が出塁するも、本塁は踏めず。竹中も初回の第1打席は1死二塁で二飛、6回の第3打席は2死二塁で空振り三振に倒れ、好機で凡退していた。9回は先頭打者として打席へ。追い込まれ、脳裏に浮かんだのが、第3打席で手を出してしまった大きく曲がるスライダーだった。
「もう一回スライダーが来るかもしれない」。読み通り、スライダーが内角低めに投じられた。弾き返した打球は詰まりながらもぐんぐん伸び、フェンスを越えた。約1年ぶりとなるリーグ戦通算8本目の本塁打は、チームを救う一発になった。
竹中は北海道網走市出身で、古谷は隣接する北見市出身。互いの実家は車で30分程の距離にあり、高校時代は対戦こそないものの意識し合う関係だった。大学で対戦した古谷は「的を絞らせない投球をするし、球の質も良かった。手強かったです」。4年間通して、この日の第3打席まで古谷から安打を放つことはできなかった。竹中はようやく飛び出した一本、しかも本塁打に「よかったです」と白い歯をこぼした。
古谷は、敗れはしたが9回11奪三振無四死球1失点完投。「(本塁打にされた球は)自信を持って投げられず、甘く入ってしまった」と失投を悔やみつつ、「ストライク先行でいけて、内外にしっかり投げ分けることができた。内容はすごくよかった」と充実した表情を浮かべた。近年の東北学院大を支えてきたエースにふさわしい、魂の136球だった。
東北福祉大の投手陣は櫻井 頼之介投手(2年=聖カタリナ)、北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)のリレーで0に抑えた。ケガで戦列を離れていた北畑は今秋初登板。3回無失点に抑えて勝利投手となった。「自分が遅れてもチームは勝ってくれると信じていた。『チームの一員になれるように頑張ろう』と思って調整してきた」と話す右腕。王座奪還へ向け、重要なピースが戻ってきた。
(取材=川浪康太郎)