試合レポート

【東京】1回戦 共栄学園 vs 都立日本橋・都立芦花

2023.09.04


共栄学園・田嶋勇斗

チーム構築途上の共栄学園は、7回コールドも苦しみながら勝利

<秋季東京都高校野球大会1次予選:共栄学園13-4都立日本橋・都立芦花(7回コールド)>◇3日◇1回戦◇東海大菅生グラウンド

夏の東東京大会を制した共栄学園にとっては、新チームになって迎える最初の公式戦になる。相手は都立日本橋・都立芦花の連合チーム。都立芦花の前身である都立千歳は、おかやま山陽の堤尚彦監督の母校であり、ともに都立の伝統校であるが、共栄学園とは、力の差はある。結果としてコールドゲームであるが、共栄学園としては苦戦したという印象の残る試合であった。

共栄学園のスタメンを見ると、背番号とポジションが一致していない選手が多い。夏の甲子園大会から秋季大会まで間はほとんどない。夏の甲子園大会に出たチームは、新チームで行う秋の大会に向けての準備はどうしても遅れる。「秋でチームを作り上げるのは、無理です。甲子園に出たから遅くなったとか、そういうわけではありません」と共栄学園の原田健輔監督は言う。ただ一般的に甲子園出場チーム、特に初出場のチームは、秋の準備が遅れるのは確かだ。加えて共栄学園は、甲子園でも2番打者として活躍した牟田口 逸佳内野手(2年)が負傷欠場しているため、攻撃の柱を欠いた感じになった。

そうした中で存在感を示したのは新エースの田嶋 勇斗投手(2年)だ。東東京大会の決勝戦に先発し、甲子園のマウンドも経験している田嶋は、エースとしての風格を感じる。「経験が成長をさせています」と原田監督。「変化球は使わないつもりで投げました」という田嶋は、安打は打たれても力強い投球で、危なげがなかった。

共栄学園は2回に1点を先制した後、3回には4四死球に敵失が絡んだうえに、2番・近藤 祐矢、打順が一巡した後、3番・早川 飛翔外野手(2年)、4番・田中 来希内野手(2年)と二塁打が3本出て、一挙9点。これで試合は決まりかと思われたが、結果としてこの9点がなければ、試合はどうなったか分からない展開になった。

4回から共栄学園は、吉田 圭太投手をマウンドに送る。すると連合チームは3番・横森 仁統、4番・飛岡 優作の連続安打に続き、5番・池田 陸斗が三塁打を放ち、2点を返す。池田も8番・高久 悠人の中前安打で還り、この回3点を返した。

共栄学園は5回に3番手として城戸口 陸斗投手をマウンドに送る。連合チームは1番・國府田 翼の二塁打などで1点を返して追い上げる。

それでも共栄学園は、5回に連合チームが2失策をしたこともあり2点を追加する。6回は無死満塁から9番・池田 幸世内野手(2年)の右犠飛で1点を追加し13対4。なおもチャンスは続き、6回コールドの可能性も出てきたが、途中出場の1番・阿部 竜典は併殺に倒れ、追加点を奪えない。結局7回コールドで共栄学園が初戦に勝利した。

共栄学園としてはもどかしい展開にも思えたが、原田監督は「こんなものです。もともと力のある子がいるわけではないので」と語る。

共栄学園としては、勝つことで次も試合ができるのだから、意味のあることだ。試行錯誤を繰り返しながら、チームを作り上げることになるのだろう。

一方、連合チームが健闘したのは確かだ。特に粘り強い打撃は見事だった。ただ、それぞれの学校の部員数が少ないだけに、仕方ない部分もあるのだろうが、大事なところで守りのミスや四死球が続いたことは痛かった。けれども秋の段階で、夏の甲子園に出場したチームと試合ができたことは、貴重な経験になったはずだ。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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