5季連続甲子園を狙うノーシード・二松学舎大附　春王者・帝京、関東一の3強が東東京大会を盛り上げるか

5季連続を目指す二松学舎大附、堀越らと同ブロック

　東東京は春季都大会優勝の帝京、準優勝の関東一、5季連続の甲子園を目指す二松学舎大附の3強がリードしている。しかし二松学舎大附が春季都大会の3回戦で敗れてノーシードになったため、二松学舎大附がどのブロックに入るかが最大の焦点になっていた。抽選の結果、準決勝までは3強の直接対決は避けられることになった。

　東京での5季連続甲子園出場は、甲子園のアイドル・荒木大輔（元ヤクルトなど）投手を擁した早稲田実業が1980年の夏から82年の夏まで達成した1度だけ。しかも二松学舎大附の市原勝人監督は、荒木大輔氏と同級生という因縁もある。

　この夏の二松学舎大附は、重川 創思投手（3年）を中心とした投手陣が、さらにレベルアップ。片井 海斗内野手（2年）をはじめとして打線は力があるだけに、優勝候補であることは間違いない。選手層が厚いので、ノーシードからの戦いも問題ないだろう。ただし、油断はできない。

　初戦での対戦が予想される成立学園は甲子園経験校であり、3年前の秋の対戦では、二松学舎大附が逆転サヨナラでかろうじて勝っている。3回戦はシード校、堀越との対戦になる。堀越は主将の草場 陸内野手（3年）を中心に、スキのない野球を目指す。4回戦は、目黒日大と駿台学園の勝者か。駿台学園の市原優人助監督は、二松学舎大附の市原監督の息子であり、親子対決になるかもしれない。

　二松学舎大附が準々決勝に勝ち進んだ場合、シード校の東京成徳大高、実践学園、都立小山台、都立葛飾野、日本ウェルネス東京あたりが対戦相手として有力だ。シード校の東京成徳大高は、横手投げの田中 琉斗投手（3年）を、主将の西 絆斗内野手（3年）、篠原 一誠外野手（3年）、中 健斗外野手（3年）という奄美大島出身の3人が中心になって盛り立てる。森田正裕監督は二松学舎沼南（現二松学舎柏）の出身。同校は、二松学舎大附と同じ敷地で練習をしているだけに、強い気持ちで向かってくるはずだ。

大森学園、東海大高輪台、明大中野などでベスト16を巡る攻防

　ベスト16を巡り最も激しい戦いが予想されるのは、大森学園がシードされたブロックだ。大森学園の初戦の相手は、淑徳、都立日比谷、東海大高輪台のいずれか。淑徳は2年前のベスト8。東海大高輪台は春季都大会で早稲田実業に逆転負けしたものの、主将の鯨井 稜眞捕手（3年）を中心に打線は強力だ。東海大高輪台と淑徳は昨夏も対戦し、東海大高輪台が勝っている。

　大森学園は籾山 寛大外野手（3年）、岩橋 幸汰内野手（3年）を中心に打線に力がある。攻撃型チームのぶつかり合いになりそうだ。

　この中の勝者が4回戦で対戦するチームは、明大中野が有力だ。明大中野には大型右腕の中村 海斗投手（3年）がいる。順当に勝ち上がった場合、大森学園もしくは東海大高輪台などの攻撃力と、明大中野・中村との「盾と矛の対決」になりそうだ。

　この激戦を勝ち抜き5回戦に進出すると、相手のブロックには粘り強い野球をする東亜学園や、秋16強の海城などがいる。

　その勝者が準々決勝で対戦するブロックには、関東一、東京実、目白研心、立正大立正、安田学園、日大豊山、上野学園などがいるが、やはり関東一が最有力。関東一は衛藤 冴仁捕手（3年）、高橋 徹平内野手（2年）らの攻撃陣に、エース格の畠中 鉄心投手（2年）に1年生の坂本 慎太郎投手が加わるなど、選手層が厚い。もし明大中野が勝ち上がった場合、秋、春に続き、3大会連続の対戦になる。秋、春は関東一が勝っているが、差は縮まっている。また日大豊山には、昨夏の高校総体で、100Mバタフライなど3種目で優勝した水泳との二刀流の光永 翔音内野手（3年）がおり、光永の最初で最後の夏の高校野球での戦いが注目される。

帝京に挑む修徳・篠﨑ら好投手たち

　10年ぶりに春季都大会を制した帝京のブロックには郁文館などもいるが、4回戦までは、さほど問題ないだろう。5回戦での対戦が予想される岩倉の大野 巧成投手（3年）は好投手。帝京にどこまで通用するか注目だ。

　準々決勝での対戦が予想される修徳は、3強に次ぐ力がある。春は投手陣の柱である大型右腕・篠﨑 国忠投手（3年）を起用せずにベスト16に進み、夏のシード権を得たことは大きい。夏は篠﨑も復帰する予定であり、篠﨑の投球次第では、予断を許さない戦いになる。

　また修徳のブロックには、やはり長身の好投手である御園 拓摩投手（3年）を擁する都立雪谷がいる。都立雪谷と修徳は一昨年、昨年と続けて対戦しており、いずれも接戦で修徳が勝っている。また、都立雪谷は4回戦で錦城学園と対戦する可能性がある。錦城学園は、秋は修徳の篠﨑、春は明大中野の中村に敗れているものの、好投手との対戦に慣れているのは、強みでもある。

日体大荏原に再度挑む都立文京

　日体大荏原と共栄学園がシードされたブロックは、3強が唯一入っていないブロックだ。昨夏準優勝の日体大荏原は、石井 祥太投手（3年）、吉田 健汰投手（2年）の投手陣に、攻守にうまさが光る千葉 輝夏内野手（3年）など、投打のバランスがいい。日体大荏原は4回戦で昨夏8強の都立文京との対戦が有力だ。両校は春も3回戦で対戦し、11対6で日体大荏原が勝っている。ただ都立文京は投手陣の柱の1人である水野 耀喜投手（2年）が大事をとって投げていない。春の結果を覆すとすれば、水野の出来がポイントになりそうだ。

　共栄学園のブロックには昨夏4強の都立城東がいる。共栄学園は春に國學院久我山を15対8で破っている。横田 優生内野手（3年）を中心とした攻撃力に、好投手の茂呂 潤乃介投手（3年）がいる。都立城東は主将の若山 瞬太郎捕手（3年）を中心に攻守にまとまりがある。

　3強がいないこのブロックは、日体大荏原、共栄学園のシード校に、都立文京、都立城東といった都立の強豪がどこまで対抗できるかがポイントになる。

　昨夏は準々決勝で都立城東が第1シードの関東一を破っている。3強が優勢とはいえ、今年は好投手が多いだけに、波乱の可能性は十分ある。