試合レポート

環太平洋大vs大阪公立大

2023.06.05

初出場の大阪公立大は悔しい初戦敗退。環太平洋大は選手権初勝利

環太平洋大vs大阪公立大 | 高校野球ドットコム
8回裏にソロ本塁打を放った猿渡颯(環太平洋大)

<第72回全日本大学野球選手権大会:環太平洋大6-1大阪公立大>◇5日◇1回戦◇神宮

 初の全国大会出場となった近畿学生野球連盟代表の大阪公立大が、明治神宮野球大会で準優勝の経験もある中国地区野球連盟代表の環太平洋大に挑んだが、初勝利をつかむことはできなかった。

 大阪公立大の先発は春季リーグ戦で6勝を挙げ、最優秀投手にも輝いたエースの正中 敦士投手(4年=兵庫小野)。球威のある直球を投げる最速144キロ右腕だ。しかし、立ち上がりは神宮の固いマウンドに苦戦して、1回に2四球から2死一、三塁のピンチを招く。ここで5番・猿渡 颯外野手(3年=創成館)が一、二塁間を破る適時打を放ち、先制点を挙げた。

 対する大阪公立大も2回に2本の安打で1死一、二塁のチャンスを作ると、7番指名打者・中村 彦士捕手(3年=西京)が左翼線に落ちる適時打で同点とする。追いついてもらった正中も尻上がりに制球力を改善し、2回、3回を無失点に抑えた。

 勝ち越し点が欲しい大阪公立大は4回までに7安打を放つも環太平洋大の先発・中島 大陽投手(4年=神港学園)を相手に3併殺とあと一本が出ない。環太平洋大の野村 昭彦監督は「打たれても無駄な四球を出さなかったのが良かった」と中島を評価。4回でマウンドを降りたが、試合を作るという先発の役割は果たした。

 度重なるピンチを最少失点で凌いできた環太平洋大は4回に相手の失策などで2点の勝ち越しに成功。5回から2番手としてマウンドに上がった白水 巧投手(3年=創成館)は代わり端に3四球で2死満塁のピンチを招いたが、4番の眞銅 龍平外野手(4年=佐久長聖)を左飛に打ち取り、何とか無失点で凌いだ。

 その後も膠着状態が続いたが、8回に試合が動く。1死から先制打を打っている猿渡が高めに浮いた変化球を捉え、右翼に貴重な追加点となるソロ本塁打を放った

 力投を続けてきた正中だが、ここで無念の降板。環太平洋大は2番手としてマウンドに上がった青野 光起投手(4年=高松)からも2死一、二塁のチャンスを作ると、5回からマスクを被っている内之倉 瑛輝捕手(4年=早鞆)が中越えの2点適時三塁打を放ち、試合を決定づけた。

 最終回は侍ジャパン大学代表候補にも名を連ねているエース左腕の徳山 一翔投手(3年=鳴門渦潮)が登板。この日は球場のスピードガンで最速149キロを記録するなど球が走っていて、わずか6球で大阪公立大を抑え込んだ。

 環太平洋大は4度目の出場にして大会初勝利。「この1年間、絶対に勝ちたいという気持ちが全員にあったので、今日の勝ちに繋がったと思います」と猿渡は喜びをかみしめた。

 一方、敗れた大阪公立大の小林 隼矢監督は「野球のセオリーですが、四球や失策が絡むと、特にこういう舞台は勝たせてもらえないと痛感しました。私自身も選手も出られて良かったとは一つも思っていなくて、勝つ気持ちで戦いに来たので悔しい気持ちでいっぱいです」と悔しさを露わにした。

 初出場の立役者となった正中は「実力不足です。秋にもう一回来たいです」と全国の舞台でのリベンジを誓う。新たな一歩を踏み出した大阪公立大。全国大会初勝利という快挙は秋の宿題となった。

(取材:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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