東京都市大付vs都立日野台
6年計画の都市大付 1年生・田畑の好投で都立日野台を破り都大会進出
都市大付・田畑遼
<秋季東京都高校野球大会1次予選:東京都市大付4-1都立日野台>◇10日◇代表決定戦◇佼成学園グラウンド
東京都市大付は、夏までは山崎 雄二が監督だったが、この秋から野田 宏幸が監督に就任している。これはこのチーム独特の指導があるからだ。東京都市大付はメンバー全員が系列の中学の出身で、東京都市大付属ボーイズの出身だ。秋になって代替わりで、ボーイズのチームの監督だった野田が指導した選手たちが高校のチームの中心になったので、野田が監督に就任し、前任者がボーイズの監督に就任した。つまり、中高一貫の6年計画で選手を育てているわけだ。新エースの田畑 遼は1年生ながら、中学の時は関東大会に出場している。
試合は田畑の威力のある投球が光った。都立日野台の好打者1番の明星洵佑が安打で出塁することがあっても、連打は許さない。力のある速球に、縦に落ちるカーブやスライダー、カットボールを効果的に使う。中でも印象的なのはしっかりした下半身がもたらす、制球の良さだ。「下半身をしっかりさせ、開かないように意識しました」と田畑は言う。重りを持ってのスクワット、ケトルベルで下半身を鍛えたという。
一方、都立日野台のエース、左腕の佐野 太洋も粘り強い投球をみせ、走者を背負っても得点を許さず、序盤は投手戦の展開になった。
しかし、惜しまれるのは4回の守りだった。東京都市大付はこの回先頭の4番・漆原 健太が一塁手の失策で一塁へ。完全に打ち取っただけに、痛い失策だった。こういうイニングは要注意なのが野球の鉄則だ。四球も出して2死一、二塁から8番・松本 大吾が左前適時打を放ち、東京都市大付が1点を先制する。送球間に松本も二塁に進み、二、三塁のチャンスが続き、9番・田畑の右前安打で2人が生還した。
好投の田畑自らの適時打で3点をリードすると、投球はますますさえる。都立日野台の佐野も、5回以降は持ち直す。一方、東京都市大付の田畑は7回ごろから疲れが見え始める。都立日野台もそこを逃さず、8回裏に3番・近藤 稜真の左前適時打で、1点を返す。
しかし9回表に東京都市大付の1番・品田 龍弥が右中間を破る打球を放つと、品田は一気にホームインしランニングホームランになった。この1点がダメ押しとなり、東京都市大付が4対1で勝ち、都大会出場を決めた。
都立日野台の畠中陽一は、「ちぐはぐでした」と語った。失策で先取点を奪われ、その後もチャンスを生かせなかった。しかし、課題が見えた分、やるべきことが明確になり、今後につながるのではないか。
東京都市大付は、エースの田畑が伸び盛りなだけに、都大会での戦いが楽しみだ。「目標は都大会のベスト8なので、それに向けて全力でやりたいです」と田畑は力強く語った。
(記事=大島 裕史)