東海樟風vs東浦
わずか10人の東海樟風が、夏に旋風を起こした東浦に勝利
9回投げ切った東海樟風・神野
<秋季愛知県大会知多地区2次トーナメント:東海樟風7-3東浦>◇20日◇1回戦◇阿久比スポーツ村野球場
この夏、3回戦で中京大中京を下し、4回戦ではシード校の西尾東も倒したことで、一躍注目を浴びる存在となった東浦。今春から、八倉波平監督が就任したが、前任の中嶋勇喜(現大府)監督時代から、チームは着実に力をつけてきて、すっかり知多の有力校の一つに成長した。そういう意味では、県大会の切符は絶対に逃すことはできない。
一方、東海樟風は今春に東海商から校名変更して、新しい学科も設置されて、フレッシュ感もある。夏は初戦で松蔭に敗退してしまったが、今、秋季大会は1次リーグ戦は半田東、知多翔洋との三つ巴と混戦になった。順位決定戦もすべて1勝1敗となったということで、抽選で2次トーナメント進出を果たしている。ラッキーといえばラッキーなのだが、1番投手の神野が引っ張るチームで、神野が打つと勢いに乗ってくる。
初回、1番神野が内野安打で出ると、その後1死三塁を作る。そして、島添の遊ゴロの間に三塁走者がかえって先制した。さらに2回にも、2死走者なしから失策と四球で攻めて1番に回って神野の中越え二塁打でもう1点追加。
東浦は3回に1番山下の中前適時打と、けん制悪送球で三塁まで進み、杉浦の中犠飛で同点に追いつく。しかし、東海樟風はその裏先頭の島添が右中間へ三塁打すると、続く松本が巧みに初球スクイズを決めて「取られたらすぐに取り返す」姿勢で主導権を握っていく。このスクイズも、さりげない形で決めていったのも、東海樟風の特徴とも言えようか。こうして、東海樟風がリードする形で試合は進んだ。そして、内野陣もよく守って、神野を盛り上げていっていた。
そして大きかったのは6回。
この回、東海樟風は1死から6番小野が左前打で出ると、続く川久保も三塁内野安打。さらには8番田口もフラフラと左翼線に落として満塁。ここで9番河野が右前へ適時打。なおも、神野の一打は併殺崩れとなってもう1点。なおも西村、島添が連打するなど、この回4点をもぎ取った。
このリードを神野が8回の1失点のみで切り抜けていった。9回には、足が攣りそうになりながらも、神野は最後まで粘りの投球。そして、内野陣が、本当によく守ったという印象の東海樟風だった。
勢いに乗り切れなかった東浦、さすがに八倉監督も「一番よくない形が出てしまいました」と、肩を落としていた。それでも、「ここからもう一度立て直していきます。ここから這い上がっていくのも東浦ですから」と、敗者復活のトーナメントへ向けて切り替えていた。
(取材=手束 仁)