試合レポート

東京実vs明学東村山

2020.09.21

183センチ・98キロの大型二刀流・十鳥真乙が投打でチームを牽引!明学東村山を接戦で下す!

東京実vs明学東村山 | 高校野球ドットコム
雄叫びを上げる東京実・十鳥真乙

 東京実明学東村山の都大会出場をかけた一戦は、引き締まった好ゲームとなった。

 明学東村山はエース・小林雅也が先発。セットポジションからゆっくりと重心を移動していき、コンパクトなテイクバックでトップを作ると、力強く腕を振ってボールをリリースする。上半身を上手く使ったフォームからはストレートと緩い変化球の緩急をつけた投球を見せていく。

 しかし新チームの東京実打線は強力。上位からバットの振れる選手が多く、ハマれば勢いを止めるのが難しい。その東京実は1点を追いかける3回、二死から3番・神谷翔吾の二塁打で同点のチャンスを作ると、4番・十鳥真乙のタイムリーで同点に追いつく。

 この3番・神谷と4番・十鳥の先発バッテリーがチームの核となっている。3番・捕手の神谷は構えた段階から既に軸足に重心を乗せておいてボールを待つ。ピッチャーの動きに合わせて少しずつすり足気味動き出すと、シャープなスイングでボールを捉えていく。それに加えて長打にするパンチ力を持っている好打者。

 守ってはキャッチャーとしてピッチャーにジャスチャーを交えて、細やかなケアをしているのが印象深い。肩の強さも申し分なく、セカンドまで矢のような送球を見せており、守りの要としての能力の高さも感じる。

 そして4番・ピッチャーの十鳥は身長183センチ・体重98キロの大型選手。投げては5回まで1失点とゲームを作り、打ってはタイムリー含む2打数1安打1打点。投打でチームに貢献した。

 まずはピッチャー・十鳥を見ていくとノーワインドアップから始動。膝にグラブを当ててリズムを作ると、上半身の力を上手く使って力強いストレートに鋭く変化するスライダーを投げ分ける本格派タイプ。

 ただ、肩の開きによる腕の遅れや背負って投げるようなところ。突っ張りの早さなど技術的なところは今後レベルアップが必要だと考えられる。ただバッティングは高い能力を感じさせる。歩幅を狭く少しオープンスタンス気味で構えて、ゆっくりと足を上げて自分の間をしっかり作る。

 そこから鋭くレベルスイングでバットを振り抜き、一気に打球を飛ばしていく。ピッチャー以上に打者としての能力が際立つ十鳥。試合中に見せる気迫を含め、今後の成長を追いかけてみたい選手だ。



東京実vs明学東村山 | 高校野球ドットコム
明学東村山先発・小林雅也

 その十鳥が2回に1点を失って以降、5回まで明学東村山を0点に抑えると、6回にチャンスがやってきた。
4番・十鳥の四球と5番・大田颯のヒットなどでチャンスを作ると、代打・飯塚勇人が起用に応えるタイムリーで勝ち越しに成功。3対1と東京実が再び試合をリードする展開となる。

 その後、6回から東京実はエースでサイドスローの加藤優征が2番手としてマウンドへ。3塁側のプレートを使い、身体をひねりながら左足を上げて、真っすぐ重心移動。サイドスローの位置から大きく曲がるスライダーなどストライクゾーンを広く使った角度を付けた投球で明学東村山打線をシャットアウト。ランナーを背負いながらもホームを踏ませないピッチングで追撃を許さなかった。

 そのまま最終回は互いに1点ずつ取り合ってゲームセット。中盤で逆転した東京実が4対2で都大会の切符をつかみ取った。

 東京実の山下監督は「課題が多く残ったゲームです。特にバッティングは甘い変化球を見逃してしまいましたので、真っすぐも打てなかったです」と打線に都大会までの課題を提示した。都大会までにどれだけ修正してくるのか。

 投打で柱を担い、勝利に貢献した十鳥は「甲子園、選抜を目標にしていますので、バッティングではどの打者でも打てるような対応力。ピッチャーとしては失点を減らして、みんなで勝って東京制覇を目指していきたいです」と10月からの戦いへ意気込みを語った。

 あと少しで及ばなかった明学東村山の熊谷監督は「3年生が抜けて初めての公式戦を戦う選手がいたので課題も多いですが、良く戦ったと思います」と選手たちを称賛した。

 今年は1年生が27名、2年生9名という状態で守りを固められるように練習時間を多く使った。大野高主将は「2年生全員が幹部だと考えて1年生を引っ張ってまとめるようにしました」とチーム作りにも工夫しながら準備をしてきた。

 「チャンスで1本が出るか、出ないかが点差になったと思います。守備は課題だった連携等はしっかりできていたと思います」と夏の成果を感じていた大野主将。次は打力を強化した新・明学東村山の姿を見られることを楽しみにしたい。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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