大阪桐蔭vs日新
雨中で分かれた両エースの明暗
危なげない投球で完封した福島(大阪桐蔭)
試合開始前から雨が降り続き、3回終了時にはグラウンドに土を入れ、4回表二死で雨が強くなると試合は30分以上中断した。万全とは言えないグラウンドコンディションの中、両先発の明暗はくっきりと分かれた。
「キャッチボールやブルペンの時から調子良かったです」という大阪桐蔭の背番号1・福島は、日新の初回の攻撃をサードゴロ、見逃し三振、空振り三振とわずか10球足らずで片付ける。
対照的にエースで4番の日新先発・辰巳はコントロールに苦しむ。
大阪桐蔭の1番・中村にフルカウントからフォアボールを与えると2番・峯本にライト前に運ばれ、いきなり無死一、三塁のピンチを背負う。3番・香月にレフト前ヒットを許すと、中村に続き盗塁で二進していた峯本もホームへ到達。13球で2点を失った。その後もフォアボールやワイルドピッチを繰り返し、失点は最初の2失点とどめたものの球数は初回から40球に達していた。
2回にもフォアボール絡みで1点を失う。3回は2球で二死を取り立ち直るかと思われたが、ここから3者連続フォアボール。その後、タイムリーや押し出しなどで5点を失った。
3回終了時で13の四死球を与え5暴投。球数は早くも100球を超えていた。「あそこまで乱れるとは。見えないプレッシャーがあったのか、名前に負けたかな」と奥監督も首をかしげたが序盤で背負ったビハインドがあまりにも大きかった。
1番・中村(大阪桐蔭)
4回にはショートを守っていたキャプテンの前田がマウンドに上がったが試合の流れは変えられず。一死満塁から香月に右中間を真っ二つに割る走者一掃のタイムリースリーベースを浴び、最短決着となる点差がついてしまった。
「うちの持ち味である打ってという形が取れなかった。実力を出し切れないまま、イニングを終える度に点差が開いてしまった感じ」とは奥監督。
3回までに8点を失ったが打たれたヒットは4本でその内1本はバントヒットによるもの。強力打線が爆発した、という攻撃ではなかったが甘く入ったら仕留めるのが大阪桐蔭打線。これだけ四死球をもらいながら押し出しは2つだけ。また単に打つだけでなく、中村、峯本コンビは一、三塁からの重盗を決め加点するシーンも披露した。西谷監督によれば「三塁ランナーはサインでは無いです。選手が自分達で考えてやってくれました」というもの。
順調な立ち上がりを見せた福島は、悪天候に加え5月らしからぬ気温の中でもスイスイとアウトを重ねて行く。長い中断にも「リラックスするところはリラックスして。ブルペンでもう1回、気持ち入れ直しました」と影響を全く感じさせない。
5回を投げ17人の打者と対戦し初球がボールになったのはわずかに4人。三塁を踏ませぬ好投でチームの勝利に大きく貢献。「春に1試合でも多く経験して夏につなげたい」という西谷監督の期待に応えた。
(文=小中翔太)