Column

県2強日本文理・中越に続くチームの存在

2018.04.19


Wエースの左腕・新谷 晴と右腕・鈴木 裕太(日本文理)

 

 3月半ばの春の選抜野球大会に始まり、同月末にはプロ野球が開幕。

 
 

 新潟の高校球児・関係者にとって春の大会は、グラウンドの使えない長い長い“新潟の冬”をどう過ごしたか、その成長度合いを図る意味でいい試金石となる。この春の大会を制し、北信越大会へ駒を進めるのは一体どのチームになるのだろうか。ここでは、昨秋の大会から今春の展望を予想してみたいと思う。

県2強の日本文理と中越

 まず優勝候補筆頭に挙げられるのが、一昨年の秋から県内の公式戦で負けていない日本文理。1年生の頃から主力としてチームをけん引してきたWエース、左腕・新谷 晴(3年)、右腕・鈴木 裕太(3年)が盤石。下半身がよりがっちりし安定感を増した新谷に、昨秋からフォームを改良し球威を増した鈴木。この2人に加え、昨秋は下級生の右腕・南 隼人(2年)が台頭。3人を中心にした県内屈指の投手陣が自慢だ。

 一方打線に目をやると、ここでも鈴木、新谷が中心。1番・米山 滉人(3年)をはじめとする上位打線が塁に出て、中軸に座るパワーのある鈴木、ミートのうまい新谷が還せるかがポイントになりそう。また、こちらも1年の頃からベンチ入りし、周囲の期待も大きいながらその潜在能力を開花しきれていない先川 大智(3年)が、主砲として安定感のある成績を残せれば、チームの得点力は格段にアップするだろう。

 日本文理の対抗は中越だろう。昨秋の県大会でエースナンバーを付けた山本 雅樹(3年)は、140km/hに迫るストレートが武器の本格派右腕。昨秋の決勝で日本文理から八回で12三振を奪う力投を見せた。また昨秋の県大会では背番号11だった左腕・山田 叶夢(3年)は、130km/h台中盤のストレートと変化球を低めに集める投球で、昨秋の準決勝(対新潟明訓)で1失点完投勝利。実力、実績ともに文句のないWエースに加え、下級生にも期待の左腕・菅井 道(2年)がおり、日本文理に負けない投手陣を形成している。

 一方打線は、前チームからの主力だった捕手・小鷹 葵(3年)、遊撃手・坂井 翔太(3年)がチームの中心。1番・長岡 真男(3年)も含め、2番・小鷹、3番・坂井と続く上位打線の破壊力は県内トップクラスといえるだろう。下級生ながら、昨秋レギュラー番号を与えられた、佐藤 旦陽(2年)、小林 洸誠(2年)らの成長も気になるところだ。

[page_break:日本文理・中越を追いかけるのは、昨秋4強の北越と新潟明訓 ]

マウンドに集まる新潟明訓の選手たち(昨秋の県大会より)

日本文理・中越を追いかけるのは、昨秋4強の北越と新潟明訓

 北越は、投手陣が強力。昨秋エース番号を背負い先発として試合を作ることが多かった片桐 蕗都(3年)は130km/h台中盤のストレートが魅力。背番号11の幸田 大和(2年)は、特筆すべき速さはないが、タイミングが取りにくく、フィールディングのいい左腕。
 昨秋は抑えを任された大野 絢平(1年)は、130km/hそこそこながら、キレのいい投球で主に抑えとして活躍。特に下級生投手陣の体が出来上がり、スタミナがついてくると面白い。打線は、捕手で4番の堀口 健太(3年)の勝負強さが目立つ。秋の県大会で5番、6番に座った大橋 輝一小林 健人(共に2年)の下級生二遊間コンビがこの冬どのような成長をみせているのか、楽しみだ。

 その北越に3位決定戦で敗れた新潟明訓は、前チームから登板機会のある長身右腕・荘司 康誠(3年)が独り立ち。昨秋は準決勝まで自責点0、準決勝も2失点ながら自責点0と好投。連投となった北越戦では中盤打ち込まれたが、エースと呼ぶにふさわしい活躍を見せた。ライバルチームが複数の好投手を擁しているだけに、荘司に次ぐ投手の台頭が上位進出のカギになりそうだ。打線は、昨秋、[stadium]HARD OFF ECOスタジアム新潟[/stadium]のスタンドに運んだ若林 拓(3年※準決勝)、渡部 宙(3年※3位決定戦)などパンチ力がある打者が並ぶほか、5番に座った横野 聖哉(3年)も勝負強い。主軸の前にどれだけランナーを出せるかがポイントになりそうだ。

 この4チーム以外にも楽しみなチームは多い。
 昨秋の準々決勝で中越に惜敗した長岡 大手は、背番号1を付けた安達 大(3年)、ベスト8決定戦で先発し村上桜ヶ丘相手に好投した渡邊 樹生(2年)、好リリーフをみせた和田森 蒼(3年)という強力投手陣が魅力。

 同じく準々決勝で日本文理を追い詰めた高田北城。夏の大会ベスト4の前チームにベンチ入りした選手が多く、経験値も高い。中でも投打の要である小林 雅弥(3年)がチーム浮沈のカギを握りる

 元プロ野球選手の飯田雅司監督が率いる加茂暁星は、潜在能力の高い選手が多い。中でも竹林 楓也(3年)は投手陣の中でも、入学時から期待が大きい。試合でその能力を発揮できると一昨年夏のような一大旋風を起こせそうだ

 県内随一の進学校・新潟も総合力が高い。昨秋は中越相手に延長十五回再試合の末敗れたが、竹石 寛(3年)、熊倉 智也(3年)の投手陣は安定感があり計算できる。下級生のころからコンビを組む松永 幸哉(3年)―伊部 達大(3年)の二遊間も一見の価値あり。

 昨秋、日本文理に敗れたものの、関根学園も力がある。前チームから投手陣の主力を担ってきたエース・西本 航紀(3年)、平野喜寛(3年)の継投で上位を狙う。

 これ以外にも、地力のあるチームが多く、まさに群雄割拠の様相の新潟県大会。ここに、この冬伸びた選手や春から高校生になった新入生が加わり、各チームの戦力は未知数な部分も多い。今春、名前を挙げた選手たちが期待通りの働きをしてくれるのか、また冬の成長で、新たな戦力が出てくるのか、新入生から戦力になる選手が出てくるのか?楽しみだ。

 

文=町井 敬史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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