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【茨城展望】春優勝の明秀学園日立が優勝候補筆頭!常総学院の仕上がりにも注目!

2017.06.18

 茨城県大会の抽選会がいよいよ6月21日に迫った。今回は春季大会上位校の展望をまとめてみたい。

関東大会に出場した4チーム

若松 祐斗(明秀学園日立)

 まずは関東大会に出場し、夏の上位シード権を獲得した4チームに触れる。

 春優勝の明秀学園日立は2回戦で常総学院をコールドで下すなど、県大会5試合で7本塁打と圧倒的な打撃力で勝ち上がり夏の第1シードを獲得した。中でも4番の若松祐斗、6番の13702は2本塁打を放った。

 その後に行われた春季関東大会では、先発左腕の猪狩悠貴が攻略され、準備不足のまま急いでマウンドに上がったエース粂直輝も火消しができず、作新学院に5回コールドと投手陣の不安要素を露呈するイヤな敗戦となった。春の試合内容からして、優勝候補の筆頭であることに変わりはないが、4番の若松が県大会準々決勝以降調子が下降気味なのが気になるところだ。

 もう一つの優勝候補は春準優勝で夏第2シードの霞ヶ浦だ。決勝では明秀学園日立に0対6で敗れたが、4回途中から2番手に登板したプロ注目右腕・遠藤淳志が明秀学園日立打線を2安打無失点に抑えた。遠藤はさらに春季関東大会白鷗大足利から1失点完投勝利し、続く強打の日大三も本塁打の2失点のみに抑える活躍を見せており、夏に向けた好材料となっている。また、打撃は4番の木村翔大を筆頭に上向いており、明秀学園日立に劣らない盤石のチーム力となっている。

 春3位となった土浦湖北は守備力に優れるチームだ。カットボールを駆使して打たせるスリークオーターのエース・矢萩陽一朗を、ショートの名手・鈴木崚斗を中心とした堅い守りが支える。強打の常磐大高との準々決勝はまさに土浦湖北野球の真骨頂を言える試合だった。序盤に到来した少ないチャンスをものにして、終盤の反撃を堅守で交わして粘り、1点差ゲームをものにした。

 春4位の石岡一は打力が高いのが特徴だ。上位打線には好打者で出塁率の高い1番・大野啓輔や春の打率.500超えの河嶋駿太郎(2年)といった厄介な打者が並び、4番以降は深作瑠偉(2年)を筆頭に一発のある打者が並ぶ。投手陣では1年生右腕・岩本大地が県大会で2勝を上げ、春季関東大会健大高崎戦(試合記事)で先発を任されるなど順調な成長曲線をたどっているが、夏を勝ち上がるためには3年生投手を軸に据えた試合運びをした上で岩本を先発・抑えのどこで使うかが鍵となる。

[page_break:春8強入りした4チーム]

春8強入りした4チーム

ワラス 開智(常磐大高)

 波崎柳川は準々決勝で優勝した明秀学園日立に0対5で敗れた。エース糸日谷剣士はスライダーを主体としたローボールで勝負するがベース手前でのバウンドが多い。4番・林﨑輝平は2回戦・取手二の好投手・香取正樹から右中間を破る強烈なタイムリースリーベースを放った。逆方向に長打を打てる好打者だ。ベンチには1年生投手の駒が揃う。

 下館一は公立2つを撃破して8強入りを果たしたが、難敵・石岡一に競り負けた。エースで4番を務める佐山樹が投打の中心を担う。佐山は右スリークオーターから斜めに曲がるスライダーを武器とする。

 総和工土浦日大との接戦を制し春、夏、秋を通じて創部以来初の8強入りを果たした。打線は各打者が振れていて勢いがある。特に1番・諏訪智也(2年)は日立一戦で2本のホームランを放った。左腕の大竹凌大は大柄でスケールが大きいが制球力や牽制、ボール処理など細かい点が発展途上にあるので、今夏の躍進はもちろんだが、高校後のロマンも感じさせる逸材だ。主に先発として活躍した右腕・長谷川大樹は昨秋120キロ台のストレートも、一冬越して球速が着実に伸び柱として成長した。

 常磐大高の3番・竹川大稀(2年)、4番・田﨑誠也、5番・ワラス開智と居並ぶ中軸には明秀学園日立に勝るとも劣らない破壊力がある。竹川は各球種への対応力が非常に優れている。田﨑とワラスは柵越えが打てる能力がありベルトの高さは禁物だ。特にワラスは春の県大会でも2本の本塁打を放っている。

 土浦湖北バッテリーは3番・竹川に3安打を許したものの、田﨑とワラスを丁寧に低めで攻めてノーヒットに抑えて常磐大高の得点パターンを凌ぎきった。投手陣では秋に怪我で離脱していた平野龍翔がこの春に復帰したことが大きなプラス要素だ。

 平野は2回戦で太田一を1安打完封(5回参考)して完全復活を印象づけた。田﨑も怪我で長らく登板がなかったが今大会2試合を完投しており不安要素はない。常磐大高の投手力は盤石だ。

昨夏王者の常総学院は?

 昨夏の茨城王者・常総学院は秋は常磐大高に、春は明秀学園日立にいずれも県大会2回戦で有力私学に敗退。特に春は明秀学園日立に7回完封コールドと投打ともに完敗と言わざるを得ない試合内容だった。練習試合や公式戦を見る限り、戦力、特に打撃力は整っており、私はこの世代が決して谷間だとは思わない。

 6月上旬に行われた土浦市内大会や練習試合では、能力の高い1年生を積極的に起用してチーム内に下克上の争いを取り入れている。後30日ほどに迫った夏の大会で、上位シードを逃した名門・常総学院がいかに勝てるチームに仕上げてくるか、これが最大の注目ポイントだ。

(文・伊達 康


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今年も全国各校の熱い想いを紹介!「僕らの熱い夏2017」

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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