Interview

ジャパン候補選出の大学屈指捕手・有馬諒(関西大)高校時代にできなかった日本一を大学で【後編】

2021.11.12

 近江の正捕手として甲子園に3度出場した有馬諒。関大では今秋から正捕手に定着し、打率.370の活躍で自身初のベストナインに輝いた。2年後のドラフト候補として注目を集めている有馬の高校から大学進学の道を振り返ってもらった。

重圧との闘い

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有馬諒(近江-関西大)

 最上級生となってからは主将に就任。「元々バッテリーだけで良かったところがチーム全体となったので、そこに関しては大変さも増えました」と責任が重くなったが、他のメンバーのサポートもあり、苦労は少なかったという。

 当時の近江は林や1学年下の土田 龍空(中日)など、個性的な選手が多く集まっていた。彼らをまとめる難しさもあったが、それがチームの強みでもあったと話す。

「バラバラの個性が良い形でそれぞれ出せていたので、それが自分たちの時には良かったかなと思います。(多賀 章仁監督は)自由にやらせてくれましたし、『思うようにやれ』と言ってくれていたので、本当にノビノビとさせて頂いたと思います」

 秋は近畿大会初戦で敗れてセンバツ大会出場を逃したが、春は16年ぶりに近畿大会で優勝を果たした。優勝候補の大本命として挑んだ夏の滋賀大会は、決勝で光泉(現・光泉カトリック)との大熱戦を繰り広げた末に1対0で勝利。重圧から解放された有馬は試合終了直後に安堵の涙を流していた。当時の心境を次のように振り返ってくれた。

「甲子園に行かないといけないとずっと思っていました。これまでは目標でやっていたんですけど、1回、2回行くとなると、近江が行って当然となるところがあったので、そこからやっと逃れられたなという感じでした」

 3年間の集大成となる夏の甲子園は初戦で東海大相模と対戦。滋賀大会を無失策で勝ち上がった近江だったが、まさかの6失策と守備が乱れて、1対6で敗れた。

「みんな硬かったところがあったのかなと思いますね。自分もミスしてしまったところがありましたし、自分の力を発揮できずにみんな終わってしまった感じがありました」と最後は実力を出し切れずに終わってしまった。それでも、「悔いはなかったですね。甲子園は自分の中では楽しい場所だったので、楽しいまま終われた場所ではありました」と晴れ晴れとして気持ちで甲子園を去った。

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プロのために大学進学を決断

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有馬諒(近江-関西大)

 高校時代からプロ注目の捕手として進路が注目されていた有馬は、「一度きりの選択なので、凄く悩みました」とプロ志望届を提出するか、進学かで迷っていたが、3年生の5月に関大への進学を決断。その理由をこう明かしてくれた。

「(プロに行くのは)大学に行ってからでも遅くはないと思っていましたし、監督さんからも大学に行った方がプロに近づくんじゃないかというアドバイスをもらって、進学を決めました。色んな大学の練習参加に行ったんですけど、(関大は)縛られることなく、選手一人ひとりがノビノビと練習しているイメージがあって、ここであったら自分の長所も伸ばせるんじゃないかと思っていました」

 入学してからしばらくはプロ注目の捕手だった久保田 拓真(4年)がいたこともあり、ベンチを温めることが多かった。だが、それも貴重な経験になったという。

「小、中、高と試合に出ないことがあまりなかったので、公式戦を外から見る機会があまりなかったんです。1年生の秋からレベルの高い野球を外で見させて頂くことによって、野球観も少し変わりましたし、それだからこそ数少ないチャンスは絶対ものにしてやろうと思いながら臨むようになったので、それは結果に表れていたんじゃないかなと思います」

 今年の春までは途中出場が多かったが、その中で18打数8安打、打率.444の通算成績を残していた。そして、この秋からはついに正捕手の座を獲得。打率.370の活躍でベストナインを獲得し、チームもリーグ優勝を果たした。秋季リーグでの自身の活躍を次のように振り返ってくれた。

「バッティングが高校の時から課題で、ずっと木製バットになって取り組んできたことが、打率として表れましたし、キャッチャーとしても負けない試合展開をずっと想定してやってきたので、そこが出たんじゃないかなと思います」

 リーグ戦での活躍が認められ、侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿のメンバーにも選出された。今後は大学球界を代表する捕手としての活躍が期待される。

 関西大学野球選手権大会で敗れて、明治神宮大会を逃した際には、「春は優勝します。先輩とか関係なく、ピッチャーの尻を叩くつもりでやっていきたいです」と正捕手の自覚を感じさせるコメントを残してくれた。

「打てて守れて、チームから信頼される選手になりたいと思っています」と今後の目標を語る有馬。これからの2年間で、どれだけの実績を積み重ねていくだろうか。

(記事:馬場 遼

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