何としても甲子園へ!最速145キロ右腕・遠藤慎也が目指す、周りから信頼されるエースに!【後編】
前編では遠藤慎也が京都翔英に進学したキッカケや、秋の近畿大会で戦った大阪桐蔭戦で感じたことを語ってもらった。後編ではその大阪桐蔭戦後に何を意識して取り組んだのか。そして新チーム結成から今に至るまでの取り組み。最後には理想の投手像や今後の意気込みを伺った。
重圧の中でも投げ勝つ!最速145キロ右腕・遠藤慎也(京都翔英)が強豪相手に見つけた収穫と課題【前編】
身体作りがもたらしたボールの質の向上

京都外大西戦での遠藤 慎也
―― 大阪桐蔭戦を経験してその年の冬はどんなことを課題にしてきましたか?
遠藤 線が細かったので、体重増加と下半身強化ですね。去年の秋は66㎏だったのですが、今は75㎏くらいあります。とにかく走って練習の合間にご飯を食べるということを繰り返していました。また、1月の終わりに左のくるぶしの外側を怪我をして野球ができない時期がありましたが、色んな人から声をかけてもらって折れずに続けてこれました。その間に体重が増えて球の質が変わったと思います。
―― 怪我の影響で春は登板なし。夏前に実戦復帰しましたが、ボールの変化は感じましたか?
遠藤 球速はあまり変化はなかったと思うんですけど、以前だったら前に飛ばされていたボールがファールになったり、空振りを取れたりして手応えを感じることができました。
―― 夏の京都大会は背番号10で復帰。4回戦敗退でしたが、どんな大会でしたか?
遠藤 とにかく先輩の最後の夏なので、絶対に点を取られたらいけないという中でやっていたんですけど、負けてしまって申し訳ないという気持ちが強いです。負けた塔南戦(先発で8回無失点も代打を出されて交代。直後の9回に先制点を許して0対1で敗戦)では最後まで投げられなかった自分のふがいなさを感じました。
―― 新チームになってから秋まではどんなことを頑張ってきましたか?
遠藤 夏は真ん中から徐々に散らしていく投球で押していましたが、それでは通用しないとコーチの前田(雅大)先生から言われました。そこでコースに投げられるコントロールを付けることとカウントを取れる変化球を作るようにしました。今ではカーブとスライダーでカウントを取れるようになりました。
―― 変化球はカーブとスライダー以外に何を使っていますか?
遠藤 スプリットを使っています。
―― この秋の大会の調子はどうでしたか?
遠藤 145㎞を出した鳥羽戦は調子がよくなかったんですけど、要所で締められたのは夏に取り組んできたコースの投げ分けや低めの変化球が活きてきたと感じました。チームとしては絶対に負けないという雰囲気はありました。
―― 準々決勝の京都外大西戦でセンバツの夢が断たれてしまいましたが、あの試合はどうでしたか?
遠藤 :ただただ焦った試合でした。自分がホームランを打って先制した後に連打を食らって焦ってしまって、気づいたときにはもう遅かったです。相手に真っすぐを上手くはじき返されてしまいました。打たれ始めてから真っすぐを狙っているとようやく気づき始めました。
感謝の思いを伝えるには甲子園に行くしかない

遠藤 慎也
―― 負けてしまったときはどんなことを思いましたか?
遠藤 自分に対して責任しか感じなかったですね。自分が抑えていれば、勝っていた試合なんですけど、抑えられなかったのはチームのみんなに申し訳ないという気持ちです。
―― そういった悔しさも踏まえて今はどんなことに取り組んでいますか?
遠藤 今はとにかく真っすぐの制球ですね。京都外大西戦では高めの真っすぐを打たれたので、どう低めにコントロールするかを考えています。
―― 高校に入る前は球速が130㎞に満たないところから145㎞まで上がったのは何が要因ですか?
遠藤 一番は前田先生のおかげです。日常生活から「身の回りの汚い選手は野球もできないぞ」ということを指導されて、野球の視点が変わりました。練習中も凄く気にかけてくれているので、そういったところが一番の要因だと思います。
―― ストレートを活かすために変化球はどんなことを意識していますか?
遠藤 とにかく緩急をつけることだと思っています。前田先生からは「縦のカーブを投げてみたらどうだ?」と言われていて、縦のカーブを投げられるようになってからは投球の幅が広がって、真っすぐが生きてくるようになりました。
―― 今後はどんな投手になりたいですか?
遠藤 自分が目指しているのは東浜巨投手(ソフトバンク)です。東浜投手が掲げている投手像が10安打完封で、どんなに打たれても無失点で抑えるという投手になりたいです。
―― それを実現するために頑張っていることは何ですか?
遠藤 周りからの信頼という部分だと思います。「遠藤がマウンドに上がったら絶対に勝てる」といった信頼関係を築くことができたらもっとよくなると思います。
―― プロ入りは考えていますか?
遠藤 高校からのプロはあまり考えていないです。大学に行ってからでも遅くはないと思います。今のままではまだ通用しないと思うので。
―― 最後の夏に向けた意気込みをお願いします。
遠藤 絶対に負けられないですね。指導者の方への感謝の思いを伝えるには甲子園に行くしかないので何としても甲子園に連れて行きたいです。
文=馬場遼