<春季東京都高等学校野球大会:日大三8-0府中東(7回コールド)>◇19日◇4回戦◇スリーボンドスタジアム八王子

 今大会、立正大立正早大学院と、私立の強豪を相次いで破り、旋風を起こしている府中東立正大立正戦、早大学院戦はともに背番号5の齋藤 拓真(3年)が先発、完投しており、背番号1の池田 亮太(3年)は、投げたくてうずうずしていた。そして日大三戦に先発のマウンドに上がった。「甲子園に出場している強豪だけに気合が入りました」と池田が言う。

 しかし1回裏日大三は四球の2番・松岡翼が二盗に成功する。ここで池田は二塁に牽制したが悪送球になり、松岡は一気に生還した。牽制は府中東のサインプレーだったが、うまくいかず失点となった。3回戦の早大学院戦でもそうだったが、エラーで失点しても、引きずらないのが、府中東の良さだ。この試合でも、失点の後、3番・本間 律輝外野手(3年)、4番・田中 諒外野手(2年)を続けて三振に仕留めた。

 府中東は2回、3回も続けて無失点に抑える。「ボールが来ていないのに打ってしまいました」と、日大三の本間主将は言う。府中東の池田にタイミングが合わず、序盤は接戦になった。

 それでも、一度流れに乗れば、一気に攻めるのが強豪校の強さ。日大三の本間主将は、「練習のように、来たボールをしっかり打つことを意識しました」と言う。そして、4回裏日大三は4番・田中が右前安打で出塁すると6番・竹中 秀明捕手(3年)の二塁打で1点を追加する。5回裏には本間の二塁打などで3点を追加。ここで府中東は投手を池田から齋藤に交代する。しかし6回裏日大三は、1番・安部 翔夢内野手(3年)、2番・松岡、3番・本間の連続適時打で3点を追加した。

 投げては背番号11の山口 凌我(3年)が、7回を被安打4、四死球4、奪三振4の無失点の好投をし、8-0、終わってみれば日大三が7回コールドで勝利した。

 それでも日大三の三木 有造監督も府中東について、「粘りがありました」と言うように、府中東の健闘が光る試合だった。5回途中から登板した府中東の齋藤は、「力の差を感じました」と語る。それでも「お金を払ってもできないような貴重な経験ができました」と五江渕 好正監督が言うように、府中東にとって、この時期に日大三と公式戦で戦ったのは、大きな財産である。しかもこのチームは、秋は関東第一と対戦している。関東第一日大三という、全国レベルの強豪と戦った経験を夏にどう生かすか。シード校として迎える夏の戦いが楽しみである。