沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。

**************

2年連続で夏の甲子園を目指す霞ケ浦。春の茨城王者として、夏の大会を迎える常総学院など実力ある学校が揃う茨城県。その茨城県で春の大会準優勝を飾ったのが境だった。

公立校ながら春は準決勝で常総学院相手に惜敗。関東大会で専大松戸と対戦して敗れたものの好ゲームを演じた。この夏も上位進出が期待される。注目が集まる中、チームを指揮する間中大介監督はいかにして夏の大会を迎えようとしているのか。

挑戦者の気持ちで上位進出を目指す

Q.春季大会でのチームの成果について教えてください。

これまで練習でやってきたことがだいぶ出たところもあれば、そうでないところもありました。もちろん「これが出来るようになったらもっと面白い」という課題も見えたので、充実した大会でした。

正直、突出したチームではなく普通のチームだと思っています。ですが、初戦で0対5のビハインドから逆転勝ち出来たので、勢いが出来ました。同時に「失敗を恐れずに思い切ってやろう」としたことが大きかったと思います。

前々から選手たちには「失敗することを考えてプレーしても良いプレーはできないから、思い切りやりたいね」と話していました。そこから行動できなかったところがありましたけど、秋の大会で少しずつ自信を深めながら、春季大会の中でも少しずつうまく出来て「こういう形でいいのか」と自信を掴めたことで変わることが出来たと思います。

Q.夏へ向けて、チームが取り組んでいることは?

まずは基本技術に立ち返ること。春の大会で普通のことが出来ないと戦えないことを理解したので、夏に向けてもう1回ちゃんとやっているところです。毎日やっているキャッチボールやノック、もっといえばアップから高い意識を持って取り組むこと。そこを徹底しています。

もう1つは判断の正確さやエンドランの精度など、細かいところを磨いています。基本技術がしっかりしているチーム同士が対戦すれば、ちょっとした判断やプレーのところで勝敗を分けることになると思いますので、実戦練習の中で、1つのプレーを振り返りながら精度を高めています。

Q.夏の大会でのキープレーヤーを教えてください。

突出した選手がいるわけではないので、全員野球で戦うことが前提です。ですので、1人1人が役割を全うすることが大切なのですが、高校野球はバッテリーに左右されるところが大きいので、橋本大翔や井崎健裕の2年生2人。もちろん井上真志、野口稜斗の3年生たちも含めて、投手陣が大事だと思っています。

とはいえ、夏は春とは違う戦いになると思います。春のように抑えられず、苦しい場面が増えると思いますので、全員で守って、全員で点数を取る。総力戦で挑むことは忘れないようにしたいと思います。

Q.最後に夏の大会に向けての思いを教えてください。

毎年、来てくれた選手たちで戦えるようにするために、一生懸命やり切ること。全員でチームを作るために、日々の実戦練習を繰り返しています。そのなかで今年は例年よりも人数が多くて競争が出来ていることは大きいと思います。その点も踏まえて、3年前に夏の茨城大会でベスト4進出を果たした時に近いものを感じています。

ですので、当時と比較しながらチームを仕上げていますが、夏は初戦で負けても全くおかしくないと思っています。実際、秋や春に結果を残した公立校が、夏の大会になると初戦敗退。勝てても準々決勝、準決勝まで勝ち上がれることが少ない傾向があります。だから「そういう学校に慣れるようにチャレンジだね」と選手たちへ話をしていますし、主将の羽部統真も「夏勝ってこそ高校野球」と口に出して緊張感を持たせています。

春の大会は経験になりましたけど、夏は先を見ることなく、一戦必勝で戦えたらと思います。