<第107回全国高校野球選手権鹿児島大会:尚志館7-6伊集院>◇5日◇1回戦◇平和リース球場

 尚志館伊集院の終盤の追い上げを振り切って、初戦をモノにした。

 初回に先制。5回表には相手のエラーを皮切りに、9番・知識 夢叶(3年)の左前適時打で待望の追加点を挙げ、1番・田之上 裕星(3年)の走者一掃中越え三塁打などで一挙4点を加え、伊集院の下手投げの好投手・猪股 陸斗(3年)を攻略した。

 8、9回と追加点を挙げ、一方的な展開かと思われたが、伊集院が9回裏に意地を見せ、1点差まで追い上げるも、反撃はそこまでだった。

 尚志館の応援席では、吹奏楽部16人が応援演奏。控えの野球部員や保護者と一緒になって熱い応援を繰り広げた。

 吹奏楽部の新井和康教諭は群馬県の東京農大二高出身。高校時代、吹奏楽部は平日でも公休をとって野球の応援に行くのが当たり前だった経験があり、4年前から赴任した尚志館でも、「1回戦から応援に行きたくてうずうずしていた」。

 これまで夏の大会では、初戦の組合せが土日の平和リース球場の試合に当たらなかったが今回、開幕日の土曜日の試合を辻 颯汰主将(3年)が引き当てたことで、念願の応援が実現した。

 炎天下の中だったが、保護者らの協力もあって、合間に水分補給や涼をとる工夫をしたこともあって、最後まで応援の熱気を届けることができた。

 思い返せば、3年生が1年生だった頃、1年生大会の大隅地区大会を応援したことがあり「エラーでボロボロだった」頃を新井教諭は知っている。最後の夏に「成長した姿」を実感した一方で、9回裏に1点差まで迫られ「まだまだ成長しないといけない」ことも実感できた。

 4年前の夏、8強入りして全校応援したことを覚えている。全校応援に慣れず、力を発揮できなかった姿を見て「チームを勝たせてあげる応援をしたい。日頃から全校応援の雰囲気に慣れておく必要がある」と新井教諭は考えた。この夏その「シミュレーション」が期せずして実現した。

 1回戦辛勝で「やはり夏は簡単に勝てないと実感した」と辻主将。「今度は準々決勝でみんなを連れてきて、そんな中でも自分たちの力を発揮できるようにしたい」と決意を新たにしていた。