試合レポート

都立小山台、都立校同士のナイター決戦で引き分け 収穫と課題を残す

2023.11.22


葛飾野・高玉龍君

<ナイター交流戦:都立葛飾野7-7都立小山台>◇20日◇江戸川区
この日、神宮球場では第54回明治神宮野球大会の決勝が行われ、星稜(北信越)が優勝を決めた。これで、高校野球カレンダーでいえば、年内の主だった大会はすべて終了ということになる。また、対外試合の日程そのものも、今週末の25日、26日でまでで、その後は来年の3月8日以降からしか組めないということになる。

そんな中で、球場が確保できたら、どん欲に試合をこなしていきたいと思っている学校も多く存在する。特に、グラウンドに恵まれていない都心の学校などでは、そんな思いが強い。都立の強豪校の1つである都立小山台と、近年、健闘している都立葛飾野もそんな学校である。

この両校は、この夏の東東京大会でも3回戦で当たっており、この時は3対1で都立小山台が勝利している。都立葛飾野としては、そのリベンジとしての意識も強く持っていた。

実は、それだけではなく、この両校の縁は深い。かつて夏の東東京大会で2度決勝進出を果たしている都立小山台だが、率いる福嶋正信監督の江戸川の前の赴任校が都立葛飾野だった。そして、都立小山台都立葛飾野の才野秀樹監督の前任校でもあり、21世紀枠代表でセンバツ甲子園出場を果たした際には、福嶋監督の下で顧問教員として手伝っていた。

そんな縁もあって、両校は交流が深い。この時期ではあるが江戸川区球場が取れ、ナイターで対戦することになった。
才野監督は、「何とかリベンジをしておきたいですよ。そのためには、今日は勝ちにこだわりたい」という思いでもあった。福嶋監督は、「エースと2番手が今日は投げられない状態なので、正直言うとちょっと投手がいないので、細かい継投です」ということだった。とはいえ、選手層の厚い都立小山台は、控え陣でも質は高い。果たして、どんな戦いになるのかと、期待は高かった。

都立葛飾野は初回に3番・善方の左前打でいい形で先制する。これに対して、都立小山台は3回、この回から登板した高玉投手を捉えて、2番・松村の二塁打を含む5連打で4点を奪った。試合前、才野監督は「最初は1年生投手を投げさせますが、3回からはエースの高玉で行きます。これがつかまったら、ウチは終わりになります(苦笑)」ということを言っていたので、正直、これはどうなることかと思わせた。

しかし、4回からはしっかりと修正して、以降は0に抑えて3~8回は2安打のみ。そして、この間に都立葛飾野は、5回から登板して4番に入っていた佐藤が犠飛を放って1点を返す。佐藤は、この後も二塁打2本と気を吐いているが、1年生ながら体もしっかりとできているし、潜在能力は高いのではないかと思われる。

こうして9回に入っていったが、ラスト1イニングがお互いにとんでもないことになってしまった。
都立小山台は4人目として投げた酒屋がストライクを取るのに苦しんで5四球、押し出しや暴投もあって、2点リードをひっくり返されて余りある5点を献上してしまった。

この3点リードをキープしていきたい都立葛飾野は、高玉を続投させた。「リードを守って逃げ切らなくてはいけない状態でのシミュレーション」としては恰好の場面となった。

しかし、こういう状況になると都立小山台も勝負強い。下位からだったが、代打で出て、そのまま守備に入っていた田中に続いて黒﨑も連打。1番に戻って里山が中前打を放ってまず1点。2点差として、さらに内野ゴロで1点差。その後、強いゴロを善方三塁手が好捕。2死としてあと1人という場面だったが、4番に途中から入っていた関口が中前打を放って、ついに同点となった。

最後は高玉が三振を奪ったものの、お互いに反省点の多い試合だったとも言えようか。どちらも「リードを守り切る難しさ」を改めて痛感することにもなった。こういう試合の経験も大きいと思えるし、来春へ向けてメンタルを含めて強化していくべき課題でもあろう。
取材・文=手束 仁

この記事の執筆者: 手束 仁

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