【東京】明大兄弟校対決に「やりにくかった」、今回も明大中野が振り切る〈東京都秋季大会〉
<秋季東京都高校野球大会:明大中野7-2明大中野八王子>◇14日◇2回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
試合後、明大中野八王子の椙原貴文監督は、「やりにくい」と語った。兄弟校で、新チーム結成後に2度練習試合を行い、2度とも明大中野が勝っているが、互いに手の内は知り尽くしている。もともと明大中野の八王子市にあった総合グラウンドの場所に1984年に設立したのが、明大中野八王子だ。明大中野の岡本良雄監督には、高校2年の時まで八王子のグラウンドで練習をしていたけれども、新しい学校が設立され、使用できなくなったという思い出がある。そして明大中野八王子は来年4月から明大八王子に校名を変更する。そのため、明大中野八王子の校名で大会に出るのは、この秋が最後になる。そして相手は明大中野。様々な縁を感じる対戦である。
明大中野八王子は下手投げの上原 和玖投手(1年)、明大中野は佐伯 魁栄投手(2年)と、ともにエースが先発した。
試合は序盤から動き出す。1回、明大中野八王子は、無死一、二塁から3番・木下 夏葵内野手(1年)の二ゴロが、敵失を誘い、1点を先制。さらに4番・村田 晃毅捕手(1年)の犠打で1死二、三塁とし、5番・小野 紘貴外野手(2年)の一ゴロで三塁走者である2番・仲野 晃生内野手(2年)が三本間に挟まれたものの、すり抜けて生還した。なおも1死二、三塁の場面で6番・高岡 将大外野手(2年)は右飛。三塁走者の木下はタッチアップで本塁を突いたがアウトになった。立ち上がりやや不安定だった明大中野の佐伯は、「助かりました」と語る。
その裏、明大中野は、1死二、三塁から4番・高橋 駿太外野手(2年)が右前安打を放ち2人が生還して同点に追いついた。
2回以降、「腕を振ることを意識しました」と言う明大中野の佐伯は立ち直った。一方、明大中野八王子の上原は、2回もこの回先頭の明大中野の6番・藤崎 理央外野手(2年)に三塁打を打たれた。その後、7番・牧田 健吾内野手(2年)の左前安打で明大中野が逆転する。さらに9番・岡田 麟多郎内野手(2年)の右前安打や1番・吉田 海渡内野手(2年)の遊ゴロの間に牧田も生還した。
3回以降は明大中野八王子の上原も立ち直り、試合は4対2のまま膠着状態になる。
8回、明大中野八王子は2死一塁から7番で投手の上原に代わり、代打に藤澤 陸内野手(2年)を送り、藤澤は二塁打を放って二、三塁としたが、得点できなかった。
上原に代打を送ったため明大中野八王子は、1回戦で好投した渡邊 純真投手(2年)をマウンドに送ったが、明大中野は、4番・高橋駿、5番・臼井 良太捕手(2年)の連続二塁打などで3点を追加して試合を決めた。二塁打を放った臼井は、背番号3ながら正捕手。捕手としては、エースの佐伯は、「よく考えてリードしてくれているので、安心して投げられます」と全幅の信頼を置く。立ち直った佐伯のツーシームなどを駆使した安定した投球と、臼井の好リードで明大中野が明大中野八王子を破り2回戦に進出した。
一方、明大中野八王子は明大中野に敗れ、明大中野八王子としての公式戦を終えることになった。「引導を渡されたというか、ある意味すっきりしました。こういう縁だったと思います」と椙原監督は言う。来年から明大八王子としての歴史を紡いでいくことになる。
取材=大島 裕史