試合レポート

二松学舎大附vs成立学園

2023.07.14


5季連続甲子園を目指す二松学舎大附、片井の満塁弾を含む全6打点と大内の完封で快勝

<第105回全国高校野球選手権東東京大会:二松学舎大附6-0成立学園>◇13日◇2回戦◇都営駒沢

5季連続の甲子園を目指す二松学舎大附は、ノーシードとはいえ、優勝候補であることは間違いない。7番に中川 龍斗内野手(3年)、8番に五十嵐 将斗外野手(2年)と、普通のチームなら中軸を打つ選手が下位に控えているのだから、かなりの強力打線だ。とはいえ、夏の初戦。相手は甲子園出場経験校で、3年前の秋も大苦戦した成立学園なので、そう楽な相手ではない。「硬くなってしまいました」と二松学舎大附の市原勝人監督は言う。

二松学舎大附の先発・大内 啓輔投手(2年)は、背番号17ながら、投手陣の柱の1人。6月に肘を痛め、投げない時期もあったが、その時期は下半身の強化をして夏に備えた。

立ち上がりは2死から成立学園の3番・山本 麗文、4番・繋 正麿内野手(3年)に連打され、ピンチを迎えたが、得点は与えない。

その裏、二松学舎大附は、成立学園の先発、背番号11の原 大河投手(2年)から、1番・毛利 拓真外野手(3年)の内野安打、2番・柴田 壮太朗内野手(3年)の死球、3番・大矢 青葉外野手(3年)の三ゴロで二、三塁とし、4番・片井 海斗内野手(2年)の遊ゴロで1点を先制した。

圧巻だったのが3回の攻撃だった。毛利の右前安打に四球や敵失で1死満塁とし、4番の片井を迎える。成立学園の原は1ストライクのあと、ボールが3つ続き、押し出しかと思われた。打者有利のカウントで、「真っ直ぐが来ると思っていました」と言う片井は、逃さなかった。打球は左翼の金網の上の方に当たる特大の満塁弾になり、一気に4点を入れた。

5回は2番・柴田が四球で出塁し、すかさず二盗。捕手の送球が悪送球になり、柴田は三塁に進む。そして4番・片井の右犠飛で1点を追加する。これで片井は6打点。二松学舎大附の打点のすべてを片井が挙げた。

それでも3回の片井の満塁弾のあと登板した成立学園の背番号1の藤岡 拓己投手(2年)は、失点は5回の1点だけ。片井の満塁弾がなければ、試合はもっと緊張したものになっていた。5回にはその藤岡が二塁打を放ってチャンスを作ったが、後続が倒れる。二松学舎大附の大内は、外角低めに丁寧に投げる投球で大崩れはしない。5回くらいから「完封したいと思っていました」と言う大内は、結局9回を投げ切り、被安打6で完封勝利を飾った。

もっとも二松学舎大附の安打は5で、成立学園より少ない。それだけ片井の満塁弾が飛距離だけでなく、勝利のための効果という面でも非常に大きかった。

安打数はやや少なかったものの、二松学舎大附は5季連続の甲子園に向けて、順当なスタートを切った。けれども戦いはこれからだ。市原監督にとってこの夏の戦いは、5季連続の甲子園以外にも、特別な思いがある。二松学舎大附野球部が躍進する基礎を作り、1982年のセンバツの準優勝監督である青木久雄氏が先月亡くなった。センバツの準優勝投手である市原監督の恩師である。この夏の戦いの一つ一つが、恩師に捧げる勝利となる。

取材=大島 裕史

 

二松学舎大附・大内啓輔

二松学舎大附 大内啓輔

成立学園・藤岡拓己

成立学園・原大河

初回のピンチで大内啓輔・押切康太郎のバッテリー

1回成立学園・繋正麿 右前安打を放つ

1回二松学舎大附・毛利拓真 内野安打を放つ

3回二松学舎大附・片井海斗 満塁弾を放つ

3回満塁本瑠打を放った片井海斗

5回二松学舎大附・片井海斗 右犠飛を放つ

5回成立学園・藤岡拓己 二塁打を放つ

二松学舎大附の応援席

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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