江戸川vs 東京高校
江戸川が持ち味ともいえる乱戦で東京にコールド勝ち
<第105回全国高校野球選手権東東京大会:都立江戸川13ー6東京(7回コールド)>◇9日◇1回戦◇江戸川区
8日開幕した東西の東京大会。梅雨明け前の東京で、はっきりしない天候ではあったが、雨も降ることもなく、蒸し暑い状況だったけれども試合は開催できる状態だった。
東京は、昨秋はブロック予選で敗退。今春は、ブロック予選を突破し、本大会でも目黒を下したが、2回戦で佼成学園に完敗。悔しい思いをしている。
江戸川も昨秋はブロック代表決定戦で東海大菅生に大敗したが、この春はブロック予選で快勝し、本大会でも篠崎との乱戦を制している。園山 蔵人監督の提唱するSJB(セルフジャッジ・ベースボール)が機能したといってもいいものだった。しかし、2回戦では都立日野に完敗。そこから夏に向けて立て直してきた。
接戦が予想された試合だったが、序盤から思わぬ展開になっていった。
初回は、お互いに様子を見たという感じだったが、2回、江戸川は鋭いスイングの7番・中野 智生外野手(3年)の中前打から四球と中前打で好機をつかむと、ここで東京の守りに走塁妨害があって江戸川は幸運な先制点を手にした。さらに四球後、2番・礒野 麒麟内野手(3年)の右犠飛とけん制悪送球で2点を追加してこの回3点。
東京も3回に2番・井上 渓太郎捕手(2年)の中前打で1点を返す。しかし、その裏の江戸川は打者11人の猛攻で6点を奪うビッグイニングとした。東京としては失策が重なったところで畑田 壮大外野手(3年)の三塁打が出たのも痛かった。
江戸川は、さらに下位の連打でもう1点を追加して、なおも篠崎 向大外野手(3年)の二塁打。ここで堪らず、東京の松下 浩志監督は先発の市野 将暉投手(3年)を諦めて、永見 光太郎投手(2年)を送り出すが、その代り端も礒野がたたいて二塁打とする。こうして、この回6点が入った。さらに4回にも篠崎の2打席連続となる長打などで3点を追加した。
それでも、東京も諦めずに追いかける。三塁側スタンドにぎっしりと詰めかけた応援団にも後押しされるような形で5回、1死から1番・橋田 素直外野手(2年)以下3連打で1点を返し、さらに失策もあって3点が入った。
江戸川としては、この回0に抑えたら5回コールドというところだったが、抑えきれなかった。それでも、その裏に5番・渡邉 来外野手(3年)の本塁打が飛び出して勢いを止めさせなかった。
7回に1点を返されているだけに、結果としては、このソロホーマーがコールド勝ちをもたらす一打ということになった。
園山監督は、「こういう取って取られて、取られて取ってというような展開は、ウチのお家芸と言えばそうかもしれません(苦笑)。ただ、流れとしては5回で終わらせなくてはいけませんでした。それが、相手の応援の迫力もあって、ちょっと防ぎ切れませんでした。その裏に出た本塁打が、結果的には大きかった。それに、最後の1死満塁を併殺(6ー4ー3)で締められたのは大きかった。秋だったら、ここでエラーが出たりしてさらに乱戦になっていくところでした。これは、チームとしての成長だと思います」と評価していた。こういう展開になるということは、チームとして掲げているSJBが十分に機能したということの証といってもいいであろうか。各走者の思い切ったリードの大きさも目立っていた。
先発して、6回途中まで投げた背番号6の髙橋智之内野手(3年)は、「継投だということはわかっていたんですが、5回はここを抑えたらコールドだということは意識してしまいました。先頭を遊ゴロにとっていいテンポだと思ったのですが、1番からの3連打を、抑えきれませんでした。このあたりは反省です」と振り返っていた。
髙橋をリリーフした背番号1の岡本 魁傑投手(3年)は6回無死一塁でリリーフして、その後は3人で抑えた。7回は1点は失ったものの、何とか無難に投げ切った。
東京としては、4回までに5つの失策が出て、そのうちの4つが直後に長打が出るなどして失点に結びついていったのが響いた。それでも、ぎっしりと詰まった三塁側の応援スタンドは、全国にも誇れるというチアリーダーの華やかさとブラスバンドも、夏の大会の雰囲気を大いに醸し出してくれていた。