試合レポート

花咲徳栄vs浦和麗明

2023.04.27

ネクスト野村・石塚の一発もあり花咲徳栄が浦和麗明に7回コールド勝ち!

花咲徳栄vs浦和麗明 | 高校野球ドットコム
飯島 大聖(花咲徳栄)

<春季高校野球埼玉大会:花咲徳栄9-0浦和麗明(7回コールド)>◇25日◇2回戦◇熊谷さくら運動公園

 [stadium]熊谷公園球場[/stadium]の第2試合は、優勝候補・花咲徳栄浦和麗明の一戦である。

 まずスタメン、花咲徳栄は昨秋から打順を変更している。ケガで出遅れている新井 大貴(3年)、目黒 亜門(2年)などは外れ、昨秋9番の田中 辰空(3年)が1番に上がり、2番には三上 武流(3年)が入る。秋1番の齊藤 海(3年)は6番に入り、秋3番の増田 空(3年)と4番の石塚 裕惺(2年)が入れ替わる。秋2番の吉川 琉陽(3年)が7番に入り、9番には生田目 奏(2年)が入る布陣だ。

 先発は花咲徳栄が左腕・飯島 大聖(3年)、一方の浦和麗明は2年生右腕・背番号11の後藤 翔太が先発し試合が始まる。

 花咲徳栄は例によってこの時期は「バントに逃げない」という方針で、盛んにバントの構えで揺さぶるが基本は投手以外バントをしない。ただ、「初球からブンブン行っても良いけどそれで秋失敗してるので。今は雑にならないようにより丁寧にボールをきっちり見極めること」(岩井監督)に重きを置いている。昨秋の反省を受け、例年よりも丁寧に打席に立っている印象を受ける。

 先制したのはその花咲徳栄であった。

 花咲徳栄は初回、浦和麗明・後藤の立ち上がりを攻め、先頭の田中が二ゴロエラーで出塁すると、すぐさま二盗を決め無死二塁とする。2死後、4番・増田が一塁線を破る適時二塁打を放ち幸先良く1点を先制する。

 花咲徳栄は2回にも、この回先頭の齊藤が四球を選び出塁すると、続く吉川が右前安打を放ち無死一、二塁とする。さらに8番・飯島の犠打が相手エラーを誘い1点を追加する。

 浦和麗明の反撃はその裏、この回先頭の金子 智哉(3年)が四球で出塁すると、続く須合 晴翔(3年)も四球を選び無死一、二塁とする。だが、6番・岩崎 誠(2年)は送れず、二走・金子が捕手からの牽制で刺されてしまう。それでも、2死後、7番・大野 春太郎(2年)が左前安打を放ち再度一、二塁とすると、続く後藤も四球を選び2死満塁とチャンスを広げる。だが、後続が倒れ無得点に終わる。

 突き放したい花咲徳栄は3回、この回先頭の石塚が左翼席へソロ本塁打を放ちまず1点、さらに続く増田が四球を選んだところで浦和麗明ベンチは早くも後藤を諦め、2番手・左腕の木村 敢太(3年)へスイッチする。だが、この日は木村がやや誤算であった。

 花咲徳栄はその後も攻撃の手を緩めず、5番・柴田 樹(3年)が死球で出塁し無死一、二塁とすると、1死後、7番・吉川も四球を選び1死満塁とチャンスが広がる。続く飯島にも3ボール1ストライクとし、バッテリーはやや混乱していたのか、バントで揺さぶりを見せる飯島に対し、思わずボールを外してしまい、結果押し出しの四球となり4点目。さらに9番・生田目も犠飛を放つなど、花咲徳栄はこの回3点を奪い5対0とする。

 これで試合の流れをつかんだ花咲徳栄は、4回にもこの回先頭の三上が右前安打を放つと、1死後、捕手がファンブルする間に二塁へと進む。ここで4番・増田が右前適時打を放つと、続く柴田も四球を選び1死一、二塁としたところで、浦和麗明ベンチはたまらず3番手にエースの金子を投入する。

 だが、花咲徳栄浦和麗明・金子の代わり端を攻め、6番・齊藤が左前安打を放ち1死満塁とすると、続く吉川が右翼線へ2点適時二塁打を放ちまず2点、さらに暴投で1点を追加しこの回も一挙4点を奪うビッグイニングとし9対0とコールドペースに持ち込み試合の大勢は決した。

 投げては花咲徳栄・先発の飯島が終わってみれば浦和麗明相手に与四死球6も5回被安打1、無失点で切り抜けると、6回・上原 堆我(2年)、7回・和久井 大地(3年)と昨秋も登板した両右腕も無失点で抑える。

 結局、花咲徳栄が7回コールド9対0で浦和麗明を下し、夏のシードを獲得。ベスト16へ駒を進めた。

 まずは浦和麗明だが、「後藤は向かっていくタイプなので最初から3イニングを目処にフルスロットルで、2、3点ぐらいで後半金子に繋げればと思っていたが甘くなかった。エラーは最初から不安視していた部分が出てしまった。飯島君は少し球を動かしていて打てそうで打てなかった」(佐藤監督)と、この日はやや花咲徳栄を意識し過ぎたか序盤のエラーなどで流れを失ってしまった。夏へ向け、佐藤監督は打撃のレベルアップと簡単な守備のミスを減らすことに加え、2年生への奮起を促していた。攻守に強豪校とも駆け引きの部分で戦えるチームにしたいところであろう。

 一方の花咲徳栄は今大会ノーシードということで「本来はこの時期、2年生投手などを使いたいが、今年はノーシードなので。選手たち気合いは入っているがやや臆病になって慎重にやっている部分が見受けられるので夏ぐらいまでに仕上がってくれれば。飯島は初先発で悪い時のフォームになっているのでブルペンで確認をさせました。できればその辺りは自分で修正できるようになってほしいけど」(岩井監督)と、投手陣は現状、木田 康介(3年)と飯島など横一線。自分たちのスタイルは崩さずも、何としても関東大会へ出場することを念頭に置き、一戦一戦丁寧に戦っている。中でも一冬を越し攻守にパワーアップした石塚に注目したい。現在は遊撃手を守り徳栄の鉄板である「3番・遊撃手」を任されている。

 「2年生ですが、投手に声をかけたり色々な経験をさせている。最終的にネクスト野村のようになってくれれば。いずれにしても待望の右投げ右打ちのショートなので、それを代表する選手になってもらいたい」(岩井監督)

 「自分は決してホームラン打者ではないので、チャンスでも確実に芯で捉え率を残しながら、当たればホームランという選手になれれば」と言う石塚。佐倉シニアから花咲徳栄の門をたたいた2年生が、どこまで伸びるのか今後に注目だ。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!