聖パウロ学園vs専修大附
聖パウロ学園・原田が1安打13奪三振の快投で専修大附を下し4回戦進出
原田 翔奈冬(聖パウロ学園)
<春季高校野球東京都大会:聖パウロ学園2-0専修大附>◇9日◇3回戦◇コトブキヤスタジアム
専修大附と聖パウロ学園の一戦は、試合時間1時間32分。専修大附の川北 伊識投手(3年)、聖パウロ学園の原田 翔奈冬投手(2年)とも制球力が良く、テンポのいい試合になった。
1回、専修大附は2番・小川 陽太郎内野手(2年)が二塁打を放ちチャンスを作ったが、後続が打ち取られた。後になって振り返ると、小川の二塁打がこの試合唯一の安打であり、1回表が専修大附にとって、唯一のチャンスであった。2回表には、聖パウロ学園の原田が、3者三振に抑えるなど、快投が始まる。
2回、聖パウロ学園はこの回先頭の6番・村越 温斗外野手(2年)の三塁打でチャンスを作ると、8番・原田の中犠飛で村越が還り、1点を先制した。
専修大附は4回表に四球の走者を1人出したが、この後、走者が1人も出なくなる。「低めのスライダーを見切れ
ず、手を出してしまいました。それにストレートにも伸びがありました」と専修大附の二井見淳監督は語る。
それでも2回戦の都立昭和戦で原田は打たれていて、聖パウロ学園の勝俣秀仁監督は、「スライダーの制球が苦しく、不安はありました」と語る。しかしこの試合では、球の切れ、制球とも危なげなく、快投を演じた。
聖パウロ学園は7回にも二塁打の8番・原田が犠打と犠飛で生還し1点を追加した。
専修大附の川北も、7安打、失点2は喫したものの、連打は許さず、失点はいずれも犠飛。8回を投げて球数は100だった。専修大附の二井見淳監督が「この3試合で一番良かったです」と言うように、本来なら称賛される投球だった。
けれどもこの試合では、聖パウロ学園の原田の投球が素晴らしすぎた。結局9回を投げて、1安打、1四死球、13奪三振という完璧な内容だった。原田は、「この前は、球が浮いてストライクが取れませんでした」と語り、「完封は初めてです」語った。この冬はブルペンでしっかり投げ込み、ウエートトレーニングなどにも熱心に取り組んだという。最速は130キロ程度だそうだが、まだ2年生になったばかり。まずは次の大森学園戦であるが、来年以降も含め、今後が楽しみである。
一方、専修大附は35年間指導を続けた岩渕一隆監督のあとを継ぎ、4月1日に31歳の二井見淳が新監督に就任した。「学校の中での生活態度も大事にしたいと思っています」と語る。就任直後にこうした厳しい試合を繰り広げたことで、チームも監督も、夏に向けて、さらに今後に向けて、貴重な経験を積んだに違いない。
(取材=大島 裕史)