都立日本橋・芦花vs東京電機大高
この試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
連合チームが5回コールド勝ち 井口監督を追いかけるスラッガーが3三塁打、4打点の大暴れ
笑顔でホームインした都立日本橋・芦花の渡邉翔大
登録選手13人の連合チームでブロック予選に挑む都立日本橋・芦花(以下、連合チーム)と、登録選手18人の東京電機大高による試合は、15対4で連合チームが5回コールドの勝利を飾った。
なかでも活躍が目立ち、勝利に貢献したのは3番遊撃手でスタメン出場を果たした、連合チームの渡邉翔大内野手(3年・都立日本橋)だった。
渡邉は初回にセンターオーバーの一打で先取点をもたらすと、7対4で迎えた3回には右中間への三塁打。さらに相手の連係ミスに乗じて、そのまま一気にホームまで生還するなど大暴れしてみせると、13対4で迎えた4回の第4打席は再びセンターへの三塁打でこの試合4打点目を記録した。
3本の三塁打で4打点と、強烈なインパクトを残した渡邉は、深い懐を利用してポイントを引き付けて、逆方向に痛烈な打球を飛ばしていくパンチ力のある打撃が魅力だが、「入学した時から井口資仁さん(現ロッテ監督)を参考にしてきた」という。そのためにホームベースまで球を引き付ける感覚でタイミングを取って、振りに行っているそうだ。
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1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
都立日本橋・芦花先発の鈴木皓成
だからこそ逆方向にも強い打球が飛ぶが、他にも数多くの取り組みをしてことも大きい。
秋季大会で日大鶴ケ丘に負けてから、「身長-100」が体重になるために、3合飯を取り組むようにして、体を大きくした。これで9キロの体重増加に成功し、渡邉自身のパワーが付いた。
そのうえで練習では「引っ張った打球は全部アウト」という特殊なルールで、都立日本橋と都立芦花によるゲーム形式を実施してきたという。
「守る人数を絞ることと、逆方向に強い打球を打つためでした」と西岡監督は導入した背景を話すが、半強制的に逆方向に打たねばならない状況にしたことで、「チーム全体が逆方向に強く打てるようになった」と成長した点を話す。
新型コロナウイルスの影響で、2022年に入ってからは週1回だけの合同練習を開き、残りは各チームで練習をする事態。しかも、この試合では新型コロナウイルスの影響で、エースと4番がいないなど、4人が不在という状況。その影響で、急なコンバートをして、練習試合も1試合だけで、合同練習も10回前後やって大会に何とか間に合わせるようなチーム状態だった。
まさに新型コロナウイルスに翻弄されたチームの1つだったが、この試合で先発した鈴木皓成投手(3年・都立芦花)は、「前回の課題を克服して合同練習をやって、新しい課題を見つけることを繰り返してきました」と少ない合同練習を無駄にせずに、成長に繋がる時間に使えたことが大きかったと振り返る。
そうした点も踏まえて西岡監督は「よくやってくれました」と選手たちをほめたたえた。
次の都立府中西戦には、何人か戻ってこられる予定だが、まだ全員は揃わない。都立日本橋と都立芦花の両校は、いまでこそ連合チームを結成しているが、夏の大会では東西で別れるため、この大会が最後となる。現在のメンバーで「1日でも長く戦いたいです」と西岡監督は本音をこぼしたが、全員が揃って戦うためには、次の試合で勝つしかない。次戦も一致団結して勝利をつかむことができるのか。連合チームの戦いから目が離せない。
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1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
「ほとんど全体練習をしたことがない」 私学の東京電機大高もコロナに苦しむ
東京電機大高先発・若野蒼空
都立日本橋・芦花の連合チームの前に5回コールドで敗れた東京電機大高だが、「四球が多く、エラーから大量失点と自滅してしまった」と若野蒼空主将(3年)は第一声で自身の投球とともに、守備面を反省した。
5回までで2投手で9四死球と確かに試合を作ることができなかったのは、東京電機大高にとっては痛かった。しかし、そうなってしまうのも仕方ないチーム事情がある。
3年生は前日まで3泊4日で修学旅行に行っていた関係で練習ができなかったことや、新型コロナウイルスの影響で、1月下旬あたりにオンライン授業を採用したことを受けて全体練習が全くできておらず、自主練習でここまで来てしまった。
加えて今回に限らず、これまでも学校側の方針で「ほとんど全体練習をしたことがない」と自主練習が中心となるチーム運営が続いている厳しい状況。東京都の方針に従って活動が決まる公立校よりも、もしかしたら東京電機大高の活動は厳しい状況にあるかもしれない。
だが、それを言い訳にすることはできず、限られた環境でいかに成果を出すかが求められる。それも踏まえて「個人が高い意識をもってできるように考えたい」と話したうえで、コミュニケーションを増やしていくことも若野主将は話していた。
これまでの高校野球が少しずつ戻りつつある一方で、既に出場辞退のチームが出るなど、以前として新型コロナウイルスとの戦いは続く。これからも各校が創意工夫を凝らしつつ、選手間で高い意識を持ち続けることが求められる時代となりそうだ。
(記事:田中 裕毅)
1次予選のトーナメント表
・日大二、都立日野などが属する第1〜6ブロック
・世田谷学園などが属する第7〜12ブロック
・日本学園などが属する第13〜18ブロック
・城西大城西、日大豊山などが属する第19〜24ブロック
ホームクロスプレー
都立日本橋・芦花ナイン
都立日本橋・芦花の得点シーン