試合レポート

水戸商vs波崎

2018.09.10

夏4強の水戸商が辛勝。大津昌熙の逆転3ランで代表決定戦を制す!

水戸商vs波崎 | 高校野球ドットコム
先発の大津昌熙(水戸商)

 水戸地区の代表決定戦を迎えた。波崎は部員数15人ながら1回戦でBシードの中央に5対0で勝利して勢いに乗っている。水戸商はこの夏に4強入りを果たしたレギュラーメンバーのうち、ショートの髙橋優太や中軸を打つ捕手の小林嵩、センターの磯部晃喜やサードの郡司光と、4人が残っている。8月に行われた水戸地区ジュニア大会で水戸癸陵、波崎柳川水戸啓明を下してブロック優勝を果たしAシードとなった。

 先攻・波崎の先発は背番号1の右腕・小田圭祐が、後攻・水戸商の先発は背番号1の右腕・大津昌熙となった。大津はこの夏の2回戦と3回戦で6イニングほど登板経験がある。

 1回表、波崎は四球と犠打野選、さらに5番・梶山雄大のレフト前ヒットで二死満塁のチャンスを作るが、6番・小田圭祐はショートゴロに倒れる。

 ピンチをしのいだ水戸商は1回裏に先制する。四球と盗塁で二死二塁から、4番・小林嵩の内野ゴロがエラーとなって1点を挙げる。

 2回裏、水戸商は四球と8番・小橋のライト前ポテンツーベースで一死二、三塁のチャンスを作るが、9番・原田はサードゴロ、1番・磯部はファーストゴロに倒れて追加点を奪えない。

 3回表、波崎が逆転する。四球と内野のエラー、さらに4番・中野翔太のライト前ヒットで一死満塁から、5番・梶山が押し出しの四球を選んで同点に追いつく。なおも一死満塁とし、6番・小田がライト前にクリーンヒット。前方にダイビングしたライトは捕球できずボールはフェンスまで到達し、走者一掃のスリーベースヒットで逆転に成功する。なおも一死三塁とチャンスは続くが,後続は打ち取られる。

 3点リードされた水戸商は3回裏、2番・髙橋がショート内野安打で出塁し、四球とバントヒットで一死満塁から、6番・高畠のセンター犠牲フライで1点を返す。なおも、二死一、三塁から、7番・大津が右中間に3ランホームランを放って逆転に成功する。

 6回表、水戸商は2番手にスタメンマスクをかぶっていた小林嵩がマウンドに上がり、大津はライトの守備に就く。小林は136キロを計測。全球ストレート勝負で三者凡退に抑える。

 6回裏、波崎も2番手に背番号ライトの守備に就いていた梶山を投入し三者凡退に抑える。

 8回表、波崎は先頭の4番・中野と5番・梶山の連打で無死一、二塁のチャンスを作るが、6番・小田がバントの構えから初球を空振り。大きく離塁していたセカンドランナーがキャッチャーからの牽制球に刺されてチャンスが潰れてしまう。

 ピンチをしのいだ水戸商は8回裏に追加点を奪う。四球とバント、さらに7番・大津のライト前ヒット(本塁転送の間に二塁進塁)で一死二、三塁から、8番代打・森田が初球をライト前に運んで1点を追加する。なおも一死一、三塁から9番途中出場・中山がセーフティスクイズを試みるが、ピッチャー前の強いゴロとなり本塁はタッチアウトとなる。二死一、二塁となり、1番・磯部がレフト前ヒットを放って二死満塁のチャンスを作るが、2番・髙橋はレフトフライに倒れてこの回は1点止まりとなる。

 2点をリードされた波崎だが、9回の攻撃は三者凡退に倒れ試合終了となる。


水戸商vs波崎 | 高校野球ドットコム
2番手としてマウンドに上がった小林嵩(水戸商)

 水戸商が逆転勝ちで県大会出場権を獲得した。

 水戸商先発の大津昌熙は最速129キロで平均125キロ程度のストレートを主体とした打たせて取るタイプだ。この日は5回を投げて被安打5、与四球3。3回にはエラーでピンチが広がってから四球や痛打を浴びた。

 6回から2番手としてマウンドに上がった小林嵩は4番キャッチャーの大黒柱ながらピッチャーも務めるオプションがあったとは驚かされた。投球フォームはいわゆる捕手投げではなく、しっかりと腕を振って前でリリースできるピッチャーらしいきれいなフォームだ。135キロを超える速球でグイグイ押して波崎打線を力でねじ伏せた。

 打線は1回と2回に一死三塁の場面から強攻策でいずれも得点に結びつかなかった。1回は結果的には相手のエラーで得点できたが、作ったチャンスを着実にものにするしたたかさや巧妙さを発揮できなかった。序盤にフラストレーションが貯まる中で逆転を許し、3点差を付けられたが、大津の逆転3ランでチームが息を吹き返した。注目打者である4番の小林には当たりがなくバントヒットのみとなった。

 波崎は4番の中野が3安打と当たっていた。2回は先頭打者がヒットを放つも、二塁を無理に狙ってアウトになり相手を助けてしまった。また、3回には相手がエラーで浮き足立つ中で畳みかける見事な攻撃だった。欲を言えば4点取った後に満足せず、一死三塁でもう1点取るために仕掛けても面白かった。また逆転を許した後、8回に最大のチャンスがあったが、バントの空振りと牽制死がもったいなかった。

 投手陣は先発の小田圭祐が小柄ながらも投げっぷりよく立ち向かった。3回には真ん中高めに投じたストレートを大津にホームランされ、1球で試合をひっくり返されてしまったが、その後も気持ちを切らさずに粘りの投球で水戸商打線を抑え、最速127キロのキレのあるボールで5回までに5つの三振を奪って試合を作った。

 

(文・写真=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!