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ヤクルトドラ2ルーキーは「何かを持っていた」 恩師、そして父が話す中学、高校時代

2023.04.08

 昨夏にブレークした高校球児の1人に、京都外大西(京都)の西村 瑠伊斗外野手が挙げられるだろう。夏の京都大会では4本塁打の大会タイ記録を樹立。準決勝で敗れて甲子園出場こそならなかったが、十分なインパクトを残した。そして、昨秋のドラフト会議ではヤクルトから2位で指名され、同校では初となる高卒プロ入りを果たしている。

 そんな西村が中学時代にプレーしていたのが京都ポニー。今回は西村の恩師である綿井修監督と西村の父で京都ポニーのコーチも務めている靖峰さんに西村の過去について話を伺った。

我が子なりに抜けていた

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綿井修監督・西村靖峰さん

 靖峰さんは中学時代に京都ブレーブス(現・京都西京極ボーイズ)で綿井監督の指導を受けている。その後は宇治(現・立命館宇治)に進み、2年夏に京都大会で準優勝という結果を残した。

 それから時が経ち、瑠伊斗が西村家の第2子として誕生。靖峰さんは小さい頃から球を触らせ、自然と野球に親しむ環境を作っていていた。

 幼少期の西村について、靖峰さんは「よく泣く子でした」と振り返る。おもちゃが欲しいとなると、そこから離れず、靖峰さんが仕方なく折れるということが何度かあったそうだ。

 物心がつくと野球に興味を示すようになり、靖峰さんとキャッチボールが十分にできるようになった小学2年生から少年野球チームに入団。ここから本格的な野球人生がスタートした。

 小学生時代の西村は足が速く、活発な少年だったという。昼間に動き回ってエネルギーを使い切り、すぐに寝てしまうため、睡眠時間は他の子よりも長かったそうだ。

 綿井監督が西村を初めて見たのは小学3年生の時。靖峰さんに頼まれ一目見たが、その時に「この子は凄いな」と感じたという。そこで綿井監督は「何も教えるな。そのままやらしたら良いよ」と靖峰さんとアドバイスを送ったそうだ。

 中学生になると、父の恩師である綿井監督が指揮する京都ポニーに入団。中学生になった西村を見た綿井監督は「順調に育ってきているな」と感じたそうだ。当時から類まれなる打撃センスを発揮していた西村に対しては、「僕はほぼ何も指導していないですね」と振り返る。

 「バッティングもちょろっと言うくらいで、3年間、瑠伊斗とコミュニケーションをとったことがないですね。色んなアドバイスをしても頷くだけ。でも、それを忠実にやっていましたから」

 綿井監督が口出しをする必要がないと感じるほど、西村の打撃は中学時点で完成度が高かったようだ。「3年間で色んなチームと対戦するのを見てきたけど、我が子なりに抜けているなと思いました」と靖峰さんも息子の実力を認めていた。

 3年生の時にはポニーリーグの日本代表に選出。靖峰さんによると、西村はここでも実力を発揮し、周囲から認められる存在になっていたようだ。

[page_break:持って生まれた何かを上のステージで]

持って生まれた何かを上のステージで

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西村靖峰さん

 打者だけでなく、投手としても非凡な才能を発揮していた西村だが、高校を選ぶにあたって、「強いチームに行きたくない」という希望を持っていたという。甲子園の常連校よりも地方大会で4強~8強前後の高校に行って、自分の力で甲子園に導きたいと志があったのだ。

 そこで綿井監督は以前から選手を送っていて、2010年夏以来、甲子園から遠ざかっている京都外大西を勧め、入学することになった。

 高校に進んだ西村は1年夏からレギュラーとして活躍。下級生のうちから京都府内屈指の打者として注目されるようになった。プロ入りを本格的に意識したのは2年夏の京都大会が終わってからだったと綿井監督は話す。

 「本人ともプロに行く前に喋ったんですけど、『プロを意識したのはいつだ?』と言った時に『2年の夏からもしかしたら』とは言っていましたね。ただ、僕はプロには行けると思っていました。2年の後半になってきたら、育成どころかだんだん評価が高くなってきました。急激に伸びたのは生まれ持った能力もありますが、能力だけではダメです。あの子の場合は持って生まれた何かを持っています。ここという時に必ず打ってくれるんです。そういう面ではプロ向きで、バッターボックスでも緊張することはないですね。あの子の場合、それはお父さん譲りだと思います。そういう面では良いDNAをお父さんとお母さんから受け継いだんじゃないですかね」

 父親譲りの勝負強さとメンタル面を持ち合わせた西村は徐々に評価を上げ、ドラフト会議前には上位候補として名前が挙がるようになる。その結果、ヤクルトから2位という高評価で指名を受け、「まさかの2位で唖然として、ちょっと涙が出てきました」と靖峰さんは感激した。

 ドラフト会議の後も入寮するまでは京都ポニーの練習に度々来ていたそうで、「小学生が体験に来たら、子どもよりはお母さんが喜んで、『サインして』と頼まれていました」と綿井監督は苦笑する。

 年が明けてからは親元を離れて寮生活が始まった。「初めてなので、心配はあるけど、彼の性格は堂々としているので、早いこと慣れてくれたら良いなと思っています」と靖峰さんは期待と不安が入り混じっている様子だった。

 西村は順調にキャンプを過ごし、2軍戦でも出場機会を得ている。最後に2人から西村に対してエールを送ってもらった。

 「慌てず、体づくりからケガなく頑張ってほしいです」(靖峰さん)

 「高いところに上がったので、教え子ですけど、瑠伊斗と会った時は緊張しますね。ホンマに喋らないんですよ。逆に何か言ったら、寂しいですね。僕は今、75歳ですけど、僕が生きている間に1軍でバリバリ活躍してくれたらなと。それだけです」(綿井監督)

 京都ポニーの関係者にとって西村は希望の存在だ。プロでの活躍を大いに期待したい。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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