松尾汐恩(DeNA)高卒1年目で「ファーム3冠」、大阪桐蔭の先輩・森友哉を超えられるか?
プロ野球の1・2軍の表彰式である23年NPB AWARDSで、2022年のドラフト1位であるDeNA・松尾 汐恩捕手(大阪桐蔭出身)が、努力賞、ビッグホープ賞、そしてリーグ特別表彰の“三冠”を達成した。
もちろん1軍の表彰ではなく、ファーム(イースタン・リーグ)内での表彰ではある。しかし、1年目から104試合に出場し打率.277(343打数95安打)、7本塁打、OPS.722と結果を残し、表彰まで受けたことは大きな自信となったことだろう。数年後の1軍での正捕手奪取へ向け、来シーズンは1軍で初出場を果たしたいところだ。
過去、松尾と同じく高卒のドラフト1位指名で入団した捕手は、1年目にどのような成績を残していたのだろうか。2000年以降で振り返ってみたい。
2000年以降に入団した高卒のドラフト1位指名捕手は、松尾が9人目となる。そのなかで1年目から1軍出場を勝ち取ったのは3人しかいない。来季から西武に復帰する炭谷 銀仁朗捕手(平安出身)と、オリックス・森 友哉捕手(大阪桐蔭出身)、そしてロッテ・松川 虎生捕手(市立和歌山出身)だ。
松川は今年が2年目。この先どうなるかは分からないが、炭谷と森はともにリーグを代表する存在となった。
一方、その他の5人は、かなり苦戦している。前田 章宏捕手(中京大中京出身)は、通算54試合の出場にとどまり、2013年に現役を引退した。
春の甲子園で優勝経験もあった白濱 裕太捕手(広陵出身)は、息が長く2022年まで現役を続けたが、1軍での出場は90試合で、シーズンキャリアハイも2012年の35試合と、成績的には苦しんだ。荒川 雄太捕手(日大高出身)は、1軍での出場がないまま、2012年に現役を引退した。
山下 斐紹捕手(習志野出身)は、ソフトバンク、楽天、中日と3球団を渡り歩いて、144試合に出場するもレギュラーを勝ち取ることはできず、2022年に現役を引退した。
甲子園でホームランを量産し、注目を浴びた中村 奨成捕手(広陵出身)も、2021年に39試合の出場で2本塁打を放ったものの、1軍には定着することができていない。今シーズンも18試合の出場で、打率.150(20打数3安打)と低迷している。
捕手というポジションは競争が激しく、他のポジションと比べて経験が物を言う。若い選手が、早い段階からいきなり1軍で活躍することは難しい。またドラフト1位の金の卵といえども、1軍に定着することもできず、現役を引退してしまうことだってある。
2軍とはいえ1年目から好成績を残した松尾は、これから先どのような成長曲線を描いていくのだろうか。
<2000年以降の高卒捕手ドラフト1位入団選手>
前田 章宏(2001年中日)
白濱 裕太(2003年広島)
荒川 雄太(2005年高校生ソフトバンク)
炭谷 銀仁朗(2005年高校生西武)
山下 斐紹(2010年ソフトバンク)
森 友哉(2013年西武)
中村 奨成(2017年広島)
松川 虎生(2021年ロッテ)
松尾 汐恩(2022年DeNA)