2024年大学生ドラフト候補<投手編>目玉は2人!1位競合もありえる「剛球右腕」と「高完成度左腕」!
今年最後の全国大会である明治神宮大会は、慶應義塾大が4年ぶりの優勝を収めた。
2023年は「大学生豊作」の1年で、ドラフトではじつに7人の大学生投手が1位指名を受けている。では、来年はどうか? まず投手から紹介していこう。2024年のドラフト候補たちはプロでいうと、髙橋 宏斗投手(中日)、山下 舜平大投手(オリックス)、秋広 優人外野手(巨人)と同世代になる。
まず、法政大の篠木 健太郎投手はドラ1候補に挙がりそうだ。木更津総合時代から140キロ後半の速球を投げ込む逸材として注目されていた。甲子園出場は1年夏の1回のみだったが、実力は髙橋 宏斗に次ぐ、とも言われていた。
法政大進学後、自慢の速球は最速157キロに到達。140キロ近い高速スライダーも鋭い切れ味を誇る。2年生の時には大学代表を経験している。篠木の投球で気になるのは駆け引きがないこと。とにかくストレート主体の投球で、打者からすれば、何を投げるのかが分かりやすい。自分から投球を苦しくしている部分がある。変化球でかわすような投手にはなってほしくないが、ストレート以外で打ち取れるバリエーションがほしい。投球術がレベルアップし、圧倒的な投手成績を残せば、ドラフト1位で競合する人気選手になってもおかしくない。
関西大の金丸 夢斗投手(神港橘)もドラフト1位候補だ。最速153キロの直球、スライダー、カーブ、チェンジアップなど変化球の精度も非常に高い。この投手の魅力は緩急自在な投球ができること。力で押したり、引いたり、変化球も速いもの、落差が大きいもの、緩いボールの投げ分けができていて、全く隙がない。
そのため、関西学生リーグで残した成績は次元が違うものとなっている。
春 3勝0敗 39.2回 62奪三振 奪三振率14.07 K/BB 8.9
秋 6勝0敗 51回 74奪三振 奪三振率13.06 K/BB 9.3
今年のドラフトでは、武内 夏暉投手(八幡南-国学院大)、細野 晴希投手(東亜学園-東洋大)、古謝 樹投手(湘南学院-桐蔭横浜大)の大学生左腕3人が1位指名されたが、金丸の実力は、現段階ではこの3人より上と言えるだろう。神宮大会は逃してしまったが、ラストイヤーはとにかく怪我なく、全国の舞台で活躍し、目玉投手になってくれることを期待したい。
上位候補の投手が愛知大学リーグに!東都、東京六大学の注目投手たち
来年のパフォーマンス次第では、上位指名されそうな投手が愛知大学リーグに所属する愛知工業大の中村 優斗投手(諫早農)だ。最速154キロの速球、抜群の切れ味を誇るスライダーを持ち、秋のリーグ戦では38.2回を投げ、47奪三振。最多奪三振を記録した。篠木と比較しても負けていない能力の持ち主だ。来年は大学選手権に出場できるか注目したい。
寺西 成騎投手(星稜-日本体育大)は常時140キロ後半の速球、カットボール、スプリットで翻弄する本格派右腕。神宮大会でも好投を魅せ、同学年のドラフト候補と比較しても、一歩リードした感がある。
ほかにも好投手が多くいる。
まず東都、東京六大学でのドラフト候補になりそうな投手を挙げておきたい。
駒澤大の好左腕・東田 健臣投手(西脇工)は小気味いい腕の振りから繰り出す140キロ後半の速球が持ち味だ。東京農業大の長谷川 優也投手(日本文理)はストレートは140キロ中盤だが、回転数が非常に高く、詰まらせて内野フライ、内野ゴロを打ち取る投球を得意としている。
東洋大の189センチの大型右腕・一條 力真投手(常総学院)が放つ最速153キロの速球は迫力がある。これまでの公式戦で素材の良さは見せてきたが、年間通しての活躍ができていないので、来年のリーグ戦では個人成績で上位に入る活躍を見せていきたい。来年エースとして活躍が期待される岩崎 峻典投手(履正社)は、高校時代に甲子園優勝を経験。140キロ後半の速球、130キロを超える高速スライダーで三振を奪う。
國學院大のシャピロ マシュー 一郎投手(國學院栃木)も豪快なフォームから150キロのストレートを投げ込む。同じく坂口 翔颯投手(報徳学園)は1年時から活躍。伸びのある140キロ後半の速球で次々と三振を奪う。リリーフ、先発もこなせて、修羅場を乗り越えてきた精神力の強さが強みだ。
東京六大学に移ろう。明治大の浅利 太門投手(興国)は、躍動感溢れる投球フォームから常時140キロ後半の速球でねじ伏せる本格派右腕。ラストイヤーで成績をしっかりと残すことが指名の条件になるだろう。
法政大の吉鶴 翔瑛投手(木更津総合)は、高校時代から篠木とともに注目された速球派左腕。140キロ後半の速球を打者の懐に攻める投球が持ち味だ。
152キロ左腕、上武大完封左腕など地方リーグの左腕も面白い!
地方リーグの投手たちも見逃せない。環太平洋大の徳山 一翔投手(鳴門渦潮)の最速152キロの直球は伸びがあり、次々と三振を奪う。2年続けて明治神宮大会に出場し、好投を見せている。
東北では、富士大の佐藤 柳之介投手(東陵-富士大)が真っ向から振り下ろす投球フォームから140キロ中盤の速球、切れのあるスライダーで翻弄する逸材。明治神宮大会では上武大相手に完封勝利を上げた。同じく富士大の速球派右腕・安徳 駿投手(久留米商)は準決勝・青山学院大戦で先発して、151キロをマーク。佐藤はすでにプロ志望だが、安徳は今年急浮上した投手で、安田慎太郎監督は「まだ私の中で評価が追いついていません」と、これからじっくりと希望進路を決める予定だが、いずれにしろNPBを狙える大器であることは間違いない。
明治神宮大会初戦敗退となったが、大阪商業大の片山 維投手(帝京第五)は日本文理大戦で140キロ後半の速球を披露。来季はリーグ戦で先発として活躍できるか。同じく明治神宮大会出場の中部学院大の大型左腕・鈴木 眞尋投手(九州国際大付)も神宮大会で147キロを計測。スケールも大きく、楽しみな逸材だ。
明治神宮大会出場はならなかったが、この秋からじわじわと評価を高めてきたのが、東海大静岡の宮原 駿介投手(3年=静岡学園)だ。最速149キロの速球は切れがあり、迫力を感じる。大学日本代表候補に選ばれ、12月1日から行われる強化合宿でアピールできるか。