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他球団が羨む「育成力」、 オリックスの1位指名は「超高校級左腕」か「超高校級スラッガー」【ドラフト指名予想】

2023.10.21


パ・リーグ3連覇を達成したオリックス。強みはなんといっても育成力の高さだ。山本 由伸投手(都城)、宮城 大弥投手(興南)らに加え、今年は山下 舜平大投手(福岡大大濠)を大ブレイクさせた。
高校時代の山下は、素材は良かったが完成度が低く、フォームにも癖があった。育成は難しいタイプに感じられたが、わずか3年目で完成度も高い剛速球右腕へ成長させている。また、育成出身の東 晃平投手(神戸弘陵)も6勝負けなしの好成績をあげた。
野手でいえば、荒削りで、ショートを守れるか不安だった紅林 弘太郎内野手(駿河総合)もしっかりと大型遊撃手として育て上げ、今年は茶野 篤政外野手(中京学院大中京-名古屋商科大-徳島インディゴソックス)が開幕スタメンに抜擢された。

そんなオリックスの今年の退団選手は以下の通り。
戦力外・中川 颯投手(桐光学園出身)※
戦力外・西濱 勇星投手(関東学園大附出身)※
戦力外・石岡 諒太内野手(神戸国際大附出身)
戦力外・渡邉 大樹外野手(専大松戸出身)
戦力外・佐野 如一外野手(霞ヶ浦出身)
*は育成選手
ポストシーズンの結果とドラフト次第ではさらなるリリースもあるかもしれない。

オリックスなら前田も真鍋も育てられる!

何度も言うが、今年は大学生投手に逸材がそろっている。オリックスもちろん彼ら大学生投手を指名する可能性は高い。しかし、本稿では球団の育成力を高く評価し、高校生を1位指名すべきと考えた。
候補は二人だ。
1人目は前田 悠伍投手(大阪桐蔭)だ。今年のU-18ワールドカップでは優勝に貢献。最速149キロの直球、プロ顔負けのチェンジアップを併せ持つ。前田はオリックスジュニア出身。現在オリックスには森 友哉捕手(大阪桐蔭)、野口 智哉内野手(鳴門渦潮-関西大)、来田 涼斗外野手(明石商)、池田 陵真外野手(大阪桐蔭)がバファローズジュニア出身だ。この縁も生かして大器・前田を1位で指名するのも面白いだろう。
2人目は真鍋 慧内野手(広陵)だ。高校通算62本塁打のスラッガーで、U-18代表の一次合宿でみた時の真鍋の打撃練習は、佐藤 輝明(阪神)を彷彿とさせた。
しかし、打撃フォームなどからは、まだ自分の実力を発揮しきれていないように感じた。オリックスには紅林という成功例があるし、オリックスは即戦力に頼らずに戦える戦力もある。ポテンシャルの高い真鍋を大型スラッガーにぜひとも育ててもらいたい。

第2候補は木村(霞ヶ浦)と森田(履正社)

2人を獲得できなかった場合も想定してみよう。
投手の候補は、右腕になるが木村 優人投手(霞ヶ浦)を推したい。長身から繰り出す140キロ後半の速球、切れ味鋭いカットボール、ブレーキが利いたカーブなど、完成度の高さは一級品。フォーム技術も高く、意識も高い。オリックスは山下など木村のような縦回転を生かした投球フォームをしている右投手を大化けさせた実績がある。面白い存在だ。
また真鍋が外れた時は、森田 大翔内野手(履正社)がオススメ。高校通算35本塁打を記録するスラッガーで、夏の甲子園で2試合連続本塁打を放った勝負強さも光る。リストが強く、力まずに遠くへ飛ばせる技術の高さや、強肩を生かした三塁守備も魅力だ。オリックスで育成すれば、勝負強いスラッガーへ成長する予感がある。真鍋よりも森田は実戦向きで、打率、打点を多く稼げそうな選手になりそうだ。
2019年、オリックスは現中日の石川 昂弥内野手(東邦)を1位指名したが、競合の末、交渉権を獲得できなかった。代わりに指名した前述の紅林で、見事レギュラーに育て上げた。今年も高校生を果敢に指名してもらいたい。

大学No.1遊撃手が補強ポイントに合致する

ほかの補強ポイントも見ていこう。
まずはショート。堅守を誇る安達 了一内野手(榛名高 – 上武大 – 東芝)が年々出場機会が減っており、若手内野陣で実戦力の高い内野手が少ないことを考えると、辻本 倫太郎内野手(北海-仙台大)が面白い。2年連続で大学日本代表に選ばれ、安定感抜群の遊撃守備は今年の大学生ではNO.1。課題の打撃も磨かれ、本塁打も打てる打撃力もついた。加えてリーダーシップもある。
また、地元関西の大学生投手にも目に向けていきたい。最速151キロ右腕・津田 淳哉投手(高田商-大阪経済大)はまとまりのある投球を見せる。また、津田が所属している大阪経済大の前監督の山本和作氏はオリックス広報。ドラフトは人の縁というのは大事で、指名候補にあがっていることだろう。オリックスは指名された選手すべてにブレイクの可能性を感じさせる育成力がある。どの順位で誰を獲るのか、非常に楽しみである。
文/河嶋宗一(編集部主筆)
*「12球団ドラフト指名予想」記事一覧はこちらから

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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