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仙台大の3季連続優勝か、それとも…8月26日開幕の仙台六大学野球秋季リーグ戦を展望

2023.08.25


仙台六大学野球秋季リーグ戦が8月26日に開幕する。仙台大、東北福祉大を中心に、今秋もし烈な優勝争いが繰り広げられることとなりそうだ。6大学による秋の戦いを展望する。

全国8強の仙台大、“黄金世代”の集大成へ

全日本大学野球選手権8強の仙台大は、3季連続のリーグ優勝を狙う。明治神宮大会には2年連続で出場し、今秋も全国の舞台までたどり着けるか、注目が集まる。

投手陣は、今春大ブレークを果たした佐藤 幻瑛投手(1年=柏木農)が1年生ながら先発の柱を担う。春は7試合に先発登板し3勝をマーク。全日本選手権でも2試合で先発を任され、初戦の桐蔭横浜大戦では自己最速152キロを計測してその名を全国に轟かせた。ルーキーイヤーから1年を通して活躍し続けるのは容易ではないが、それをもやってのける力は十分にある。

今春は3回戦までもつれた東北学院大戦、東北福祉大戦でいずれも佐藤幻が3回戦の先発マウンドに上がった。ルーキーの負担を軽減するためにも、先発の枚数を増やしたいところ。制球力が武器の技巧派左腕・南 勝樹投手(3年=白鴎大足利)、150キロ超の直球を持つ長身右腕・相原 雄太投手(3年=伊奈学園総合)ら先発経験者はもちろん、新戦力の台頭にも期待がかかる。春はケガの影響で長期離脱していたエース・川和田 悠太投手(4年=八千代松陰)の復調ぶりも鍵を握りそうだ。

新戦力となりそうな下級生では、ルーキー右腕の菊地 脩斗投手(1年=作新学院)に注目。今春の新人戦準決勝では敗戦投手となったものの、タイブレークの緊張感の中でキレのある速球を連発し、最速は145キロを計測した。今夏の「部内リーグ」ではMVPに輝いており、ブレーク間近だ。

野手陣は春同様、“黄金世代”と呼んでも過言ではない4年生が牽引する。ドラフト候補の正遊撃手・辻本 倫太郎内野手(4年=北海)、春は首位打者と盗塁王の2冠を獲得したリードオフマン・川島 優外野手(4年=山村学園)らを擁する打線は爆発力がある。下級生も着実に育ってきており、打撃でアピール中の井尻 琉斗捕手(1年=北海)や前田 夢翔捕手(1年=鶴岡東)はリーグ戦でもチャンスを与えられそうだ。控えメンバーも含め、例年通り「全員野球」で頂点を目指す。

東北福祉大は3季ぶりの王座奪還へ準備万端

2季連続で優勝を逃している東北福祉大は雪辱に燃える。投手層の厚さはリーグ随一で、いずれもドラフト候補に挙がる後藤 凌寿投手(4年=四日市商)と北畑 玲央投手(4年=佐久長聖)が中心。この代は他にも浅野 駿吾投手(4年=遠軽)、佐々木 繕貴投手(4年=古川学園)ら好投手が揃っており、ラストシーズンにかける思いの強い投手たちがブルペンを支える。

3年生以下では、150キロを超える速球を武器に持つ堀越 啓太投手(2年=花咲徳栄)、櫻井 頼之介投手(2年=聖カタリナ)が秋も各大学の打線に立ちはだかる。速球派が多いゆえに、アンダースローの森 優太投手(2年=八戸学院光星)や左腕の太田 悠雅投手(3年=日高中津)ら特徴のある投手は重宝される。今春の仙台大3回戦は自慢の投手陣で9失点を喫して敗れただけに、勝利を呼び寄せる継投を見いだしたい。

野手陣は、今春は主に「1番・遊撃」を打った中川 壱生内野手(4年=九州国際大付)、主に「4番・指名打者」に座った竹中 研人内野手(4年=駒大苫小牧)がともに2割台前半の打率にとどまった。この2人の浮上が求められる一方、レギュラー陣を脅かす存在もチームを底上げする。攻守に高いポテンシャルを誇る島袋 皓平内野手(3年=沖縄尚学)や、広角に打ち分ける打撃が持ち味の垪和 拓海外野手(2年=智辯学園)らは少ないチャンスをものにしたい。

打率、出塁率ともに高い水準を維持する西村 彰浩外野手(3年=聖望学園)、大内 海斗内野手(3年=高川学園)、石井 寛人内野手(3年=明秀日立)をどの打順で起用するかも重要なポイントとなる。つながった時の打線の怖さは健在。投打で圧倒し、もう一度栄冠を手にすることはできるか。

「打倒・2強」を実現するのはどこだ

東北学院大はエースの古谷 龍之介投手(4年=北星大付)が投手陣の柱。4年目に球速が大きく伸びた野中 大輔投手(4年=花巻東)、今春防御率1.27と安定した投球を見せた左腕の石川 岳人投手(3年=石巻西)らも実力が光る。し烈なレギュラー争いが続く野手陣は、新人戦で2季連続本塁打を放っている長距離砲・中田 裕生内野手(2年=大館鳳鳴)ら新戦力がそこに加わると打線が怖さを増しそうだ。

今春4勝を挙げた東北工業大もAクラス入り(3位以内)を狙う。春は3完投2完封含む3勝をマークしたエース左腕・後藤 佑輔投手(3年=仙台育英)と、新人戦準優勝に貢献した伊藤 理壱投手(2年=仙台城南)を中心に白星を積み重ねたい。打線はレギュラー格の4年生の一部が春で引退したこともあり、菅井 惇平外野手(1年=ウェルネス宮城)、斎藤 陽也内野手(1年=名取)ら下級生の台頭が待たれる。

東北大は打線に勢いがある。今春は東北工業大2回戦で19得点を挙げるなど、2ケタ得点した試合が3試合あった。リーグ戦開幕と大学院入試の日程が重なるため理系学部所属の主力選手を複数人欠くスタートが予想されるものの、森数 晃優内野手(2年=県立船橋)や大橋 周吾捕手(3年=八戸)はレギュラーを奪えるほどの打力を持つ。選手層に不安のある投手陣は佐藤 昴投手(2年=仙台一)が完全復活すると心強い。

宮城教育大は1年生の成長ぶりに注目。投手では今春5試合に登板した遠藤 直投手(1年=仙台南)、野手では早くも多くの打席を経験した金 颯太外野手(1年=盛岡三)、古川 慎旺内野手(1年=泉館山)らのさらなる奮闘が期待される。先発で試合をつくることのできる篠村 大翔投手(2年=仙台一)は引き続きチームの核となる。全敗を喫した春の雪辱を果たしたい。

(取材=川浪康太郎)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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