Column

この夏、初加盟となった青鳥特別支援学校、加盟までの流れと選手たちに指導をしていること

2023.07.10


 今年の東京都高野連に新加盟した学校がある。

 それが青鳥特別支援学校だ。世田谷区にある同校はベースボール部として活動し、今大会は松蔭大松蔭と都立深沢との連合チームで西東京大会に出場する。同校からは6選手が登録されている。

 東京都としては初の特別支援学校の加盟。スタートラインに立つまではどんな道のりがあったのか。

 この加盟に大きく関わったキーマンは久保田浩司監督だ。現役時代は都立調布南、日本体育大でプレーをしていた実績を持っており、教員になってからは特別支援学校や社会人野球のクラブチーム・YBC柏などを中心に指導してきた。久保田監督は全国の特別支援学校に通う生徒たちを対象に硬式野球の指導をする「甲子園 夢 プロジェクト」という取り組みを21年に始動した。

 そして、21年4月から青鳥支援学校に赴任。そこからソフトボール、バスケットなど球技大会に合わせて活動している球技部があった。活動頻度は少なく、レクレーション的な活動が多かったが、そこで硬式野球の練習を始めたのがベースボール部のスタートになった。

 ただ、最初は練習内容を見て、学校側が「硬式野球の練習が生徒には危ない」とみて、硬式野球の活動をいったんストップしてしまう。

 そこから久保田監督は「安全対策の資料も毎月提出して、硬式野球をやらせてほしいとお願いをして、学校に検討してもらって活動ができるようになりました」と振り返る。

 活動再開が認められたあとも、安全対策を欠かさずに行っている。久保田監督がこの部活動を通して教えているのは「野球の楽しさを伝えること」。

 部員のほとんどが野球未経験者。ケガをしないように、練習時間は長くせず、野球の基礎を教え、平日は週3回、土日のどちらかで活動をしている。

 「特に1年生は野球を知らない子たちで、球の投げ方、走塁の仕方、打撃の基本を教えていく中で、上達が早い子が多くて、うまくなることによって、『野球の楽しさ』を覚えている感じですね」

 久保田監督の指導理念も「上手くなりながら野球の楽しさを覚える」ことを理念に教えている。

 「上手くなるようになると、選手たちから笑顔がでていて、野球を楽しんでいるなという感じがしますね。指導者としてもその一面が見えるのは嬉しいですよね」

 ちなみにベースボール部は同校の校長の提案で決まったものだ。
 「現在の活動ができているのは今の校長先生のバックアップが大きいです」と久保田監督は感謝する。

 こうして、活動を続け、東京都高野連の理事も練習を視察し、連盟加入の承認が認められた。

 「東京都高野連の方が丁寧にうちの学校に対して接していただいたので、とてもありたがったです」

 今大会、登録となっている選手たちは3年生1人、2年生が2人、3年生が3人。

 秋も連合チームということで目指す予定だが、近いうちに、単独チームとして出場することが大きな目標だ。

 「特別支援の中学校に通う子たちにも今回、加盟していることを知っていただき、一緒に野球やれればと」と願う。

 いよいよ10日の初戦を迎える。久保田監督は「全く経験できていなかった球場の中で、声援を受けてプレーするのは大きな経験です。将来、自分の経験の幅を広げて役に立ててほしいですね」と選手たちにエールを送る。

 青鳥特別支援学校にとって大きな一歩となる試合になるか。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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