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夏の滋賀大会5連覇の期待かかる近江 立命館守山、滋賀学園ら実力校が追随

2023.07.02


近江ナイン

 第105回全国高校野球選手権滋賀大会が7月8日に開幕。53校50チームが出場し、甲子園を懸けた戦いが繰り広げられる。

 シード校は春に4強入りした近江滋賀学園綾羽甲西。秋に4強入りした彦根総合瀬田工近江兄弟社水口東はノーシードからの戦いとなった。6月20日に行われた組み合わせ抽選会の結果を踏まえ、各ゾーンの展望を行っていきたい。

 Aゾーンのシード校は春の優勝校で、5大会連続の夏の甲子園出場を目指す近江。昨年の甲子園でも活躍した横田 悟内野手、清谷 大輔外野手、小竹 雅斗外野手(いずれも3年)が打線を引っ張る。大型スラッガーは不在だが、全体的に選球眼が良く、好球必打で切れ目のない打線を形成する。投手陣は右の西山 恒誠投手、左の河越 大輝投手の両2年生が柱。山田 陽翔投手(現・西武)が奮闘した昨年と違い、得意の継投策で勝負することになりそうだ。

 近江が優位と予想されるAゾーンにおいて、対抗馬になりそうなのは水口東比叡山滋賀短大附の3校だ。

 秋4強の水口東は主将でリードオフマンの橋本 琉生外野手(3年)や投打で活躍する左腕の中川 愛斗投手(3年)を中心に総合力が高い。比叡山は昨年から中軸を打つ若井 大輝外野手と尾木 佑内野手(ともに3年)を筆頭に打線が強力。春は初戦で秋4強の近江兄弟社相手に7対2と快勝を収めている。

 滋賀短大附はプロ注目右腕の上藤 大輝投手(3年)を擁する。投手に本格転向したのは昨秋以降だが、そこから急成長して、現在の最速は147キロで、高卒プロ入りを目指している。この夏の活躍次第ではドラフト会議で指名される可能性も十分にあるだろう。

 Bゾーンのシード校は春4位の甲西。丁寧な投球を見せるエースの伊藤 航太投手(3年)や好守の遊撃手で主将の佐々木 倖稀内野手(3年)を中心にまとまりのあるチームで、春はセンバツ出場校の彦根総合を下した。1985年夏に甲子園初出場ながら4強入りを果たして「ミラクル甲西」と呼ばれたような戦いを期待したい。

 その甲西と初戦でぶつかるのが秋、春ともに8強の光泉カトリック。140キロ前後の速球を投げる中植 耕太郎投手(3年)など個々の能力は高く、好ゲームが見られそうだ。

 他に注目したいのは八幡商伊吹八幡商は長身右腕の大﨑 仁投手(2年)や最速142キロ右腕の川﨑 逸翔投手(3年)など、将来性のある投手を擁している。昨年のセンバツで21世紀枠の近畿地区推薦校になった伊吹は、毎年のように総合力の高いチームを作ってきていて、今年も上位進出の期待が持てる。

 Cゾーンのシード校は春準優勝の滋賀学園。投手陣は技巧派左腕の大城 海翔投手(3年)と140キロ超えの速球を投げる右腕の脇本 耀士投手(2年)が柱となる。「今年は守備型のチーム」と山口達也監督が話すようにディフェンス面は非常に安定している。野手で注目すべきは2年生遊撃手の岩井 天史内野手(2年)。身体能力が高く、春の県大会決勝では公式戦初本塁打を記録している。強肩を生かした守備も魅力で、来年のドラフト候補に挙がってくるであろう逸材だ。

 県内トップレベルの戦力を誇る滋賀学園だが、このCゾーンにノーシードの有力校が多く集っており、最激戦区になることが予想される。

 2年連続夏準優勝の立命館守山は昨年からエースを務める左腕の加藤 優芽投手(3年)と最速140キロ右腕の杉本 倫太郎投手(2年)の両投手が盤石。打線も1番の小畑 颯諒内野手(3年)や4番の田中 暖人内野手(2年)を中心につながりがあり、総合力は高い。3度目の正直として甲子園初出場なるか。

 秋4強の近江兄弟社はエースの山田 祿投手(3年)が右肘のコンディション不良で春の登板はなかったが、夏は復活できる見通し。140キロ近い速球と変化球を巧みに使った投球が持ち味で、本調子なら攻略が難しい投手だ。

 秋に近江を破り、彦根総合と延長15回の大熱戦を繰り広げた彦根東は、主将の山田 幹太投手(3年)が投打の大黒柱。マウンド捌きの上手い最速141キロ右腕で、打線でも中心的存在となる。山田が力を発揮すると、強豪私学も苦戦を免れない。この夏も見せ場を作ってくれそうだ。

 Dゾーンのシード校は春3位の綾羽。ロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡高出身)のように高く足を上げるフォームから最速146キロの速球を投げる野川 新投手(3年)を筆頭に多彩な投手陣を擁する。打線も4番の荒 勇吹内野手(3年)やこの春に台頭した居川 勇登外野手や北邑 流星内野手(ともに2年)ら好打者が揃っており、悲願の甲子園初出場に向けて戦力は整っている。

 このDゾーンには秋の近畿大会に出場した彦根総合瀬田工が入り、こちらもCゾーンに負けず劣らずの激戦ゾーンとなりそうだ。

 彦根総合はスライダーが武器の左腕・野下 陽祐投手に140キロ超えの速球を投げる勝田 新一朗投手、武元 駿希投手(いずれも3年)と投手陣が強力。打線も田代 奏仁内野手(3年)や上田 大地内野手(3年)といった好打者に加え、センバツではメンバーから外れていた4番候補の蟹江 星允内野手(3年)が春の県大会で復帰した。センバツは初戦で光(山口)に完封負けと不完全燃焼に終わったが、夏にその悔しさをぶつけられるか。

 瀬田工は昨夏の初戦で2年生主体のチームながら近江相手に延長戦までもつれる大接戦を繰り広げた。当時の主力が最上級生となり、4強入りした1980年以来となる夏の甲子園を目指す。長身右腕の吉田 翔湧投手や強打者の平田 大樹外野手(ともに3年)など、力のある選手が多く、強豪私学とも十分に渡り合えるだろう。彦根総合瀬田工はともに初戦を突破すれば、2回戦で対戦することになっていて、序盤から好カードが実現しそうだ。

 ノーシードの有力校がCゾーンとDゾーンに固まっていて、Aゾーンの近江に有利な組み合わせとなった印象だが、これがどう左右するだろうか。例年に比べて有力校の戦力差が拮抗しているだけに、1、2回戦から見応えのある試合が多く見られそうだ。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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