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県岐阜商と大垣日大の対決構図だが、中京、岐阜第一、岐阜がどこまで食い下がれるか

2023.07.01


山田 渓太(大垣日大)

 近年の高校野球岐阜大会の戦力構図としては、大垣日大を筆頭に県立岐阜商と岐阜中京、そして岐阜第一が安定した4強となっている。そこに、大垣商大垣西、帝京可児、美濃加茂といったところがどこまで食い下がってくるのかというところになる。そんな中で、今年は県下一の進学校の岐阜が21世紀枠の県推薦校にも選出されるなど健闘している。そんな今夏の岐阜大会を組み合わせから展望してみた。岐阜大会は、ベスト4が決まった段階で再抽選となるのも見どころである。

 春季県大会優勝で東海地区大会も準優勝した県立岐阜商は、4番・三塚 武造内野手(3年)と、鍛治舎巧監督が手塩にかけて育ててきた園田 進之助外野手(3年)を軸とした打線が鋭く、また破壊力がある。投手陣は今井 翼投手(3年)、森 厳徳投手(2年)が中心となっていくであろう。ことに、森は東海大会で厳しい場面で踏ん張って自信を得た。

 4強までの道のヤマとしては、大垣商がいて、続いては高山西麗澤瑞浪となろうか。準々決勝では、春も8強の多治見工岐阜城北と初戦で当たり、その勝者が上がってくる可能性が高い。岐阜城北では、秋田 和佳捕手(3年)が注目されている。

 センバツ出場を果たし、春季県大会でも準優勝の大垣日大は、山田 渓太投手(3年)が安定している。矢野 海翔投手(3年)も成長するなど、しっかりとした安定感のあるチームとなっている。阪口慶三監督の孫にあたる高橋 慎捕手(3年)が一塁から捕手にコンバートされたことも注目される。

 その大垣日大に東農実、美濃加茂などが挑んでいくことになりそう。また、準々決勝では岐阜第一が上がってきそうだ。例年に比べて、ややスケールが小さく、結果が出しきれていないという印象はあるが、チーム力はある。

 新体制となった岐阜中京は、春季県大会では準決勝で大垣日大に完敗してしまったが、3位決定戦では岐阜に1対0で勝利し、守りの野球は徹底していた。左腕・菅澤 宙投手(3年)の出来がカギとなりそうだ。ベスト8までは順調に行きそうだが、そこで当たるのが春季大会の準々決勝で勝利した益田清風か帝京可児、もしくは西濃地区の公立校としては安定していて攻守にバランスの取れている大垣西であろうか。

 岐阜は昨秋と今春、ともにベスト4に進出して今季は安定している。今春の準決勝では4点リードされたが、県立岐阜商を終盤に追い上げて1点差まで迫る戦いぶりを示した。昨秋も準決勝では、優勝した岐阜中京相手に1対2と食い下がっている。昨秋、今春ともに3位決定戦では1点差負け。敗れた4試合は、いずれも1点差だった。「あと1点をどう奪っていくのか」というところが課題でもあろうか。北川 英治監督も最後の詰めをできるチームへと余念なく鍛えている。経験値のある鷲見 旺宥投手(3年)が軸になるが、小倉 悠叶内野手(2年)、内野からリリーフすることもある井上 雄貴内野手(3年)もセンスがある。この春、青山学院と記念試合を組み日本最古の硬式野球部であるという伝統校としての自覚も新たにして、モチベーションも上がっている。初戦の相手、関商工は、北川監督の前任校で甲子園出場に導いている。

 このゾーンには市立岐阜商岐阜総合学園と力のあるチームが控えている。市立岐阜商の左腕・松本 瑛人投手(3年)は身体はそれほど大きくはないが、小気味のいい投球をする。また、岐阜総合学園では、196センチで父親が中日の選手だったという前原 省吾投手(3年)が注目されている。

 いずれにしても、県立岐阜商大垣日大の2強の牙城を崩せるかどうか。順当に両校の一騎討ちになるのか、待ったをかけるところが現れるのか。ここが岐阜大会の一番の見どころとなっていくであろう。

(文=手束 仁)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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