試合レポート

日大桜丘vs都立武蔵野北

2020.07.29

連投の好左腕・都立武蔵野北の一井、4回突如乱れてコールドで敗退

日大桜丘vs都立武蔵野北 | 高校野球ドットコム
武蔵野北・一井日向汰

秋は1次予選で敗れたものの、2試合の奪三振は24。都立武蔵野北の左腕・一井日向汰は、都立のドクターKと言っていい逸材だ。しかしこの大会は雨天中止が続き、日程変更により、1回戦、2回戦が2日連続で組まれた。1回戦の明星学園戦で一井は144球を投げた。
冷水と熱い湯に交互に入ったり、ストレッチをしたり、親にマッサージをしてもらったりして、翌日の試合に備えた。一井本人は、「昨日の影響はありませんでした」と言っているが、疲労は感じ取れた。

一方投手陣が豊富な日大桜丘も、1回戦に続き2日連続の試合となったが、前日は登板していない左腕の丹野日和を登板させた。

立ち上がりに問題がある武蔵野北の一井であるが、1回表はチェンジアップなど緩いボールをうまく使い、二ゴロ2つと、相手を泳がせるような形で三者凡退に仕留めた。2回表は走者を出したものの奪三振2。3回表にも三振1個を奪い、本調子ではないものの、一井らしい三振を取る投球ができるようになってきた。
連投の一井を楽にするためにも、武蔵野北は早く先取点がほしいところだ。1回裏は2番の和田康希が四球で出塁すると、日大桜丘のバッテリーミスの隙に二塁を狙ったが、捕手の小林孝太郎が素早く送球して和田を刺した。
日大桜丘の佐伯雄一監督は、「あのプレーが大きかったと思います」と語っている。

 

武蔵野北は2回裏にも6番・須賀文太の左前安打やワイルドピッチなどで一死二、三塁のチャンスをつかんだが、8番・原佑は二ゴロ。三塁走者の須賀は本塁を突いたが、日大桜丘の二塁手・白鳥優太が落ち着いて本塁に送球し、須賀はアウト。なかなか1点を奪えない。

武蔵野北の一井に抑えられていた日大桜丘の佐伯監督は、バッターボックスの前に立って、変化球を投げにくくさせる指示をした。
すると4回表、一井が突然乱れだす。
2四球、1安打で無死満塁のチャンスをつかみ、打席には7番で主将の小林。「強く振ることを意識しました」と言う小林は中前安打を放ち2人が還り、日大桜丘が2点を先制した。

さらに8番・森俊翔が四球で歩き再度満塁となり、9番の丹野が中前安打でさらに2点を追加。1番・大森竣平に四球を出すと、ついに一井を一塁にまわし、遊撃手の中島海斗が登板した。
 中島も制球が乱れ3四球に1安打、さらには6番・佐藤有真に三塁打を打たれて、この回11点目が入った。すると一井が、再度マウンドに上がった。「伝令を出して聞いたら、投げたいと言うので、投げさせました」と武蔵野北の原壮一監督は言う。

一井は5回表にも5点を失った。それでも、5回コールドが決定的な状況で、最後の打者は三振で仕留めた。明らかに三振を狙った投球であったが、「しっかり終わりたいと思いました」と一井は語る。

結局16-0の5回コールドで日大桜丘が勝ち、一井の夏は終わった。自粛期間が長く、練習ができなかった状況での連投はやはり、厳しかった。
 一井はプロ入りを希望した時期があり、原監督も「(志望届の)紙は渡しています」という状況であったが、本人に改めて聞くと、「勉強をしたくなりました」と、国公立大学を目指して勉強することを表明した。大学でも野球を続けるつもりで、そこでプロを目指すことになる。「都立で泥臭く努力することがありませんでした」と語る一井。新たなステージで成長することを期待したい。

一方3回戦進出を決めた日大桜丘は、秋は1次予選の初戦で都立小岩にコールド負けした。そこで「基本を大事にするようにしました」と、佐伯監督は言う。3回戦は、2回戦をタイブレークの末勝利した錦城と対戦する。複数の好投がいる錦城と、好投手・一井を攻略した日大桜丘の対戦。好ゲームを期待したい。

(記事=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!