今年の愛知県の右投手で、NPBのスカウトから熱視線を注がれているのが豊川の中西 浩平投手だ。182センチ80キロと恵まれた体型から140キロ後半の速球、120キロ後半のスライダー、フォークを操るパワーピッチングを得意とする本格派だ。
昨年の取材で高卒プロ志望を明かした中西。ヤクルト2位指名を受けた先輩・モイセエフ ニキータ外野手がストイックに練習に取り組む姿に刺激を受けた。キャッチボールは丁寧にこなし、トレーニングも人一倍追い込んで取り組む姿が見られた。その結果、球速は安定して140キロ後半の速球を投げ込めるまでに成長した。
打者の手元で鋭く切れるスライダーは精度も高く、フォークもしっかりと落ちた時は高確率で空振りを奪える。
どの試合を見ても、安定して常時140キロ中盤・最速140キロ後半の速球を投げ込んでいるが、課題はコマンド力。高めに抜けたり、追い込んだ場面でボール球になったり、もったいない投球が多い。ストライク先行ができないので、ストライクを取りに行ったボールを打ち返されている。
投げるストレート、変化球の精度は高いが、配球を見ると、それを活かしきれていない。県大会では、愛工大名電戦で7四死球を出しながらも3失点完投。至学館戦では6四球を出した末、完投できずに終わった。東海大会でも制球力を改善できなかった。桐陽戦では被安打9、5回5失点。準決勝の津田学園戦では打者3人に2四球だった。
今年はプロ志望する高校生が少ない。上背もあり、常時140キロ後半の速球、スライダー、フォークを操れる中西は制球力に課題があっても、貴重なパワーピッチャーだろう。
テークバックが大きく、担ぎ気味に投げる姿は巨人の戸郷 翔征投手(聖心ウルスラ)の高校時代を思い出させる投手である。この夏に思い通りにコントロールできるリリースの感覚を身につけることができるか。
この夏は速球、変化球を意のままに操り、安定した投球を見せていけば、本指名有望の投手となるだろう。モイセエフに続き、豊川からの高卒プロ入りを実現させたい。
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