6月に入り、プロ野球では育成選手たちの支配下争いが激しくなっています。2年連続のリーグ優勝を狙う巨人の支配下選手は63人。7月末までには65人にしなければならないため、残り2カ月で最低でも2人は登録する必要があります。野手で支配下登録の筆頭候補に挙がるのが3年目の三塚 琉生外野手(桐生第一)ではないでしょうか。5月に二軍昇格してからは3本塁打を記録。コンスタントに安打も記録しており、猛アピールをしています。
筆者は高校3年春からその強打に惹かれ、プロの世界で発揮してほしいと願っていた選手でした。
打撃の意識改革で3年春に覚醒を遂げる
三塚選手は、桐生第一の下級生の時から主軸で出場し、2年秋には関東大会に出場。8打数3安打を記録します。当時はコンタクト力の高い左打者という印象で、プロ側もそこまでの評価ではありませんでした。ただ、最終学年に入ってから一気に印象がガラリと変わりました。三塚選手が猛打を発揮しているという情報を聞き、春季群馬県大会準決勝の前橋育英戦を取材しました。そこで三塚選手は特大本塁打を放ちました。弾道が高く、とても高校生とは思えないパワーでした。
ヒットになった時の打球も非常に速く、金属バットを持たせてはいけないのではないか、と思うほどの選手でした。
この三塚選手のパフォーマンスに惹かれ、大会後の5月に取材しました。練習では打球が飛びにくいコンポジバットで本塁打性の打球を連発していました。
インタビューでは、高卒プロにいくために並々ならぬ思いで練習に取り組んでいるのが分かりました。2年秋の関東大会で負けた後に徹底的にトレーニングを行い、打撃フォームの意識も変えたと語ってくれました。
「秋はテイクバックがあまり取れてなくて、その分パワーがなかったのですが、体全体を思う存分使った方がいいかなと思い、下半身と上半身の連動性というのを意識してやってきました。
最初は振りづらかったのですが、冬の期間で身につけて、自分の振りやすい形にする事ができました。今までは点で打っていたので、確実性がなかったのですが、線でボールに入れることを意識して、確実性が上がりました」
この練習の結果、コンタクト力も上がり、本塁打、安打も多く出るレベルに成長しました。
また外野守備でも守備範囲は広く、投手としても最速144キロをマーク。投球練習を見ましたが、威力のある速球を投げ込んでいました。三塚選手は守備もアピールしなければ、高卒プロはできないと自覚していました。
5月の練習で見せたポテンシャルの高さは、これまで高卒プロに進んだスラッガーと比較しても負けていない選手だと思いましたので、このままいけば、指名の可能性は有望な選手だと思いました。
しかし夏の大会前に足を痛め、最初は代打スタート。準々決勝の関学大付戦で復帰しましたが、足を痛めた影響で守備の目測を誤り、明らかに本調子ではないのが分かりました。それでも本塁打を放ち、痛めた足を我慢しながら三塁打を放つなど、意地を見せました。