6月の恒例となった愛知招待試合を今年も取材しております。見どころは、参加するドラフト候補たちのパフォーマンスです。愛知の強豪と全国の名門が対戦するこの大会では、好カードが実現することが多く、多くのNPB球団のスカウトが集結します。今回はこの招待試合で活躍して評価を高めた逸材たちを紹介していきます。

2017年 2日間で4本塁打!高校通算100号本塁打を愛知で達成した清宮幸太郎(早稲田実-日本ハム)

まずは、清宮幸太郎選手です。すでに高い評価を受けていた清宮選手でしたが、この大会でも勝負強さを見せてくれました。まず中京大中京戦で2本塁打。140キロ前半の速球を投げる香村篤史投手(前・伯和ビクトリーズ)、143キロ左腕・磯村峻平投手(トヨタ自動車)といずれも好投手から打ったもので、値打ちの高い2本塁打でした。

 桜丘戦で高校通算99本塁目を放ち、翌日の享栄戦では節目となる高校通算100本塁打を達成しました。この瞬間、スタンドだけではなく、記者室にいる多くの報道陣も歓喜の声をあげました。100本塁打を達成した模様はスポーツニュースでも取り上げられており、最も多くのメディアが集まった招待試合だったと思います。

 大勢の観客が集まった中でも期待通りのパフォーマンスができる勝負強さはプロで活躍できる重要な素質です。清宮選手はプロでも劇的な本塁打を打つ場面がありましたが、この招待試合から垣間見えていました。

2021年 高校生トップクラスの球速を叩き出した畔柳 亨丞投手(中京大中京-日本ハム)

畔柳 亨丞投手は2年秋に150キロをマークし、東海大会優勝。2021年のセンバツでもチームをベスト4に導く快投を見せました。しかし登板間隔が短い中で連投、完投したこともあり、センバツ後はノースロー期間が続いていました。本格的にブルペン入りしたのが5月中旬から。そこから、打撃投手を経て、招待試合の3週間前から練習試合で登板。最長でも3イニングと、一歩ずつ階段を登ってきました。

 迎えた東海大相模戦では、3回無安打無失点、3奪三振。センバツ覇者に対し、圧巻の投球を見せました。最速150キロ、平均球速146.5キロと当時の高校生ではトップクラスの球速でした。畔柳投手は最速よりも平均球速が145キロ以上も出たことに手応えを感じていました。夏はやや不調に終わりましたが、この試合でセンバツよりもパワーアップした投球を見せたことでドラフト指名に大きく近づきました。21年のドラフトでは日本ハムから5位指名。ここまで一軍登板6試合しており、現在は二軍で先発投手として腕を磨いています。結果を残していけば、投手事情が苦しくなる後半戦で出番があると思います。ぜひ一軍での活躍を期待しています。