この春の埼玉県大会、関東大会で評価を急激に高めたのが、浦和学院の左のスラッガー・垣内 凌外野手である。下級生時から試合に出場し、2年秋も主軸として出ていたが、まだこの時は高卒プロという印象はなかった。

 ただ、今春の県大会準々決勝・花咲徳栄戦で本塁打は、明らかに打球の質が変わっていた。打った瞬間、本塁打と確信できる弾道だった。試合後、森大監督に垣内の成長について触れると、「彼はプロ志望届を提出させるか考えているところです。この春の活躍で追いかけているスカウトの方も増えています」と語ってくれた。

 その後、関東大会では横浜の152キロ右腕・織田 翔希投手から高校通算24本塁打目となるソロ本塁打を放った。春の活躍で自信をつけた垣内は森監督と相談の上、プロ志望を決めた。

 垣内は今年の高校生外野手では数少ない攻守ともにスケールの大きい選手だ。まず打撃はコンタクト力が高いのが特徴だ。スクエアスタンスで立って、バットを立てて構える姿は力みがない。トップを形成してからどのコースにも素直にバットが出て、的確にミートができるため、結果が出ない日がほとんどない。直球、変化球にも対応ができて、読みの鋭さも出てきており、140キロ台の速球投手にも力負けしない。スイング軌道に無駄がなく、下半身を使って、ボールに角度をつけるのが上手い。飛ばすコツを掴み、しっかりとフィジカル強化してきたのが伺える。

 外野守備も基本的な動きはできており、何よりライトから抜群の強肩が光る。遠い位置からでもダイレクト返球できている。守備もウリにできる選手だろう。

 3年春から急激に評価を高めた選手は、昨年の田中陽翔内野手(健大高崎-ヤクルト)を思い出す。田中も春の関東大会、夏の群馬大会、甲子園とどの大会でも快打を連発していた。さらに守備力の高さも評価され、本指名評価まで持ち込んだ。

 夏の大会では厳しいマークを受けるため、簡単には結果を残せないだろうが、それでも安打を量産し続ければ、高卒プロの可能性も、2年ぶりの夏の甲子園出場も現実的になるのではないか。

【動画 垣内の打撃は9分35秒から】