得点圏打率は.463 千載一遇のチャンスものにした呉念庭の快進撃は続くのか?
西武の呉念庭が今シーズン大ブレイクしている。6月28日時点で打率.285(235打数67安打)はチーム2位でパ・リーグでも8位と好成績を残している。
特筆すべきは得点圏打率で、打率よりも約1割8分高い.463(54打数25安打)を記録している。リーグ2位吉田 正尚(オリックス)の.403よりも6分も高い。6月28日のソフトバンク戦でも無死満塁の場面で二塁打を放ち二者を迎え入れた。その勝負強さで挙げた37打点は森 友哉や山川 穂高を上回り、チームトップとなっている。
そんな呉は岡山県共生高から第一工業大を経て2015年ドラフト7位で西武に入団した6年目の内野手だが、ここまでの道のりは決して順風満帆とは言えなかった。
呉はドラフト時に大きな話題を呼んだ選手ではないが、1年目から一軍で43試合に出場する。しかし打率.194(124打数24安打)と低迷。2年目は15試合、3年目は8試合の出場にとどまった。
昨シーズンはキャリアハイとなる51試合に出場したが、与えられた打席はルーキーイヤーの142打席から半分以下の52打席と苦しい立ち位置だったことは否めない。
さらに今年も春季キャンプは二軍に相当するB班スタート。オープン戦での出場もなく、もちろん開幕も二軍スタートだった。しかし、二軍の教育リーグ、そしてシーズンで好調を維持していたこともあり、主力選手が相次いで離脱した3月31日に一軍昇格を果たす。その日の試合でプロ初本塁打を放つと、スタメンに定着し、ここまでチーム最多の69試合に出場している。まさに千載一遇の機会をものにした好例だろう。
これまでの実績がない大卒ドラフト7位の6年目という立場は、結果が出なければシーズンオフに戦力外となってもおかしくない。そんな崖っぷちから呉はチーム打点王となった。
とはいえ、まだシーズンは半ば。残りおよそ70試合も同様のペースで走り抜くことができるだろうか。遅咲きのクラッチヒッター呉のバットから目が離せない。
<今シーズン成績>
呉念庭(西武)
69試合 打率.285(235打数67安打) 6本塁打 37打点
(記事:勝田 聡)