関東大会でお披露目となった健大高崎のスーパー1年生はその後、センバツ優勝の原動力へ

 22年の春季関東大会では、健大高崎森山 竜之輔内野、田中 陽翔内野手、作新学院の小川哲平投手がデビューした大会になりました。森山選手は中学硬式球界を代表するスラッガーとして注目を集め、1年春からベンチ入り。関東大会初戦の桐光学園戦では豪快な本塁打を放ち、鮮烈デビューを飾りました。

田中選手は5打数0安打に終わりましたが、俊敏な動きと強肩を活かしたショートの守備が目に留まり、打撃もスケールあふれる豪快なスイングをしていて、今後が楽しみな選手に映りました。田中選手は1年秋からスタメン出場し、「3年生になったときにはドラフト上位指名される選手になりたい」と語っていたことを思い出します。この2人は故障、不調などもありましたが、それを乗り越え、24年のセンバツ優勝、夏9年ぶりの甲子園出場に貢献しました。森山選手は強打の一塁手へ成長し、田中選手はヤクルト4位指名を受け、高卒プロ入りを叶えています。

 小川投手は中学時代、軟式ながら140キロ後半の速球を投げ込む剛腕として注目を浴び、1年春からベンチ入り。山村学園戦で大勢の観客がいる中、登板しました。その速球と馬力を活かした球威は1年生離れしており、関東大会でみてきた1年生投手では史上NO.1だったと思います。小川投手は故障や不調などもあり伸び悩む時期もありましたが、最後の夏では最速148キロを連発し、防御率0.00を記録。完成度の高い投手へ成長しました。

 23年の関東大会は、健大高崎佐藤 龍月投手、石垣 元気投手の両投手がデビューしました。佐藤投手は中学NO.1左腕と騒がれ、全国の名門校から誘いがある中、兄が健大高崎野球部に所属していたこともあり、健大高崎に進学。1年春からベンチ入りします。中学時代から投球を見ていましたが、140キロ前後の速球と鋭く曲がるスライダーを武器にした、高いセンスの持ち主でした。関東大会デビュー戦となった土浦日大戦では3回を投げて、4四球、3奪三振、2失点とほろ苦い内容となりました。

健大高崎の石垣 元気、佐藤 龍月

 石垣投手は1年春の段階で145キロをマークする速球派右腕として注目を浴びていましたが、3回無失点の好リリーフ。最速145キロをマークし、2年後のドラフト候補として期待できる内容を示しました。フォームもキレイで、完成度の高さが伝わってきました。

 その後、この2人は24年の健大高崎センバツ優勝に大きく貢献するコンビとなります。佐藤投手はトミー・ジョン手術もありましたが、最後の夏へ向けて現在復帰を目指しています。石垣投手は今年のセンバツで155キロをマークしました。1年春から並外れた速球を投げる投手でしたが、ここまで順調に速くなるとは想像もできませんでした。体つきがとてもたくましくなり、投球では、踏み出した足の勢いがダイナミックになっています。グラウンドで練習している姿にも風格が出てきました。

 彼ら8人は、デビュー時に光るものはあったものの、体は細く、技術もまだまだでした。しかし、最終学年になると、別人のようなパフォーマンスを見せました。改めて高校生の2年間の成長は凄まじいものがあることを感じます。

 今年の関東大会はどんな1年生が出てくるのか楽しみにしたいと思います。