兵庫県小野市を拠点に活動している小野ボーイズは現在3学年で20人前後の規模で活動をしているが、少し前は30人ほどいた。昨今の野球界にとって大きな課題となっている選手数の減少の影響を受けているチームの1つといっていい。
当時からおよそ半数ほどに縮小したことに「難しいと思う瞬間が時々あります」と苦しい状況であると、小野ボーイズの指揮官・大橋 亘監督は語る。
選手数の減少のみならず、小野ボーイズの他にも多くのチームが活動していることも影響していると大橋監督は感じており、小学生へどうアピールするか。他のチームとの差別化をどうするのか。その2つがポイントになってくるわけだが、小野ボーイズではその点において、他にはない取り組みをオフシーズンに実施している。
現在オリックスで活躍している中川 圭太内野手(PL学園出身)をグラウンドに呼び、野球教室を開催している。
小学6年生から中学2年生を対象にしたイベントで2023年から毎年実施されている。選手、指導者にとっては「モチベーションは高まります」と、一流選手のプレーを間近で見られることで多くの刺激と学びがあるのはもちろん、参加した選手たちにチームの紹介する絶好の機会として大橋監督は大事にしている。
まだ目立った変化はないので、「これから何か変わってくれたら」と期待をしつつ、引き続き選手募集を積極的に取り組んでいくようだ。
とはいえ、一番は大会で結果を残していくこと。小野ボーイズ=強いチームだと認識してもらうこと。大橋監督も選手たちのためにも、大会で1つでも多く勝つために、日々練習に打ち込んでいる。
今年は投手中心の守備からリズムを作って攻撃に繋げていく。打たせて取るピッチングが持ち味の山室瑠彩投手が主力投手であり、守備の中心を担っている。2月の大会では「守備は上出来でしたので、あとはバッティングですね」と大橋監督は、さらなる成長へ打力向上を挙げた。
チームをまとめる主将・佐藤唯人も「秋は守備のエラーが多かった」という反省から一冬かけて改善してきたという。その成果は十分感じることが出来たようだった。
夏の大会で結果を残すために今もなお練習を重ねているわけだが、小野ボーイズの練習で特徴なのが体力測定を年2回取り組んでいること。「高校野球でも、そういった取り組みをされているところがあるので、少し前から取り組んでいます」ということだが、大橋監督のなかでは数字が出ることで選手それぞれが、自身の身体能力を把握できるところに、大きなメリットを感じているようだ。
「データを取ることで、その選手の弱いところが見えてきます。なので、そこを選手自身がわかったうえで強化した方が練習に対してモチベーションも高まりますので、測定に限らず選手と会話を重ねながら、意識しているところです」
実際、佐藤主将も「トレーニングを重ねてきたことで、筋肉をしっかりつけることが出来た」とチームの取り組みを通じて成長を感じているようだった。
選手たちのモチベーションを高めながら、さらなる成長を促す大橋監督。集大成の夏まで指導は続くわけだが、新たな試みとして4月中旬に行われたのじぎく大会以降、アシックスのNEOCONNECT(ネオコネクト)という新作スパイクを使用する予定だという。
前足部分には金具歯4本、かかと部分には樹脂スタッド4本を配置するハイブリッドソールで話題の一足。樹脂スタッドということでプレーへの影響が気になったが、選手たちに話を聞くと、「想像以上に動きやすい」、「軽くて柔らかくて良い」といったような好評の声が多い。
大橋監督も「昔と比較しても、今までに見たことないスパイクでした」とスパイクの軽さも含めて、ハイブリッドソールには衝撃を受けていた。一方で、樹脂スタッドが地面からの衝撃を緩衝してくれることで、負担軽減・パフォーマンス維持が考えられることに、期待をしているようだった。
今後に向けて大橋監督は「出来るだけ大会で勝てるように練習では指導したいです。やはり大会で勝てば、選手たちはもっと成長してくれると思いますので」と勝利に対する執念を見せた。
佐藤主将も、「エラーが無ければ良い試合が出来ると思いますし、勝ち進むことが出来ると思います」と小野ボーイズの野球を展開すれば勝機はあると考えている。
我慢強く、粘り強く守りきる。小野ボーイズの野球を実践して、多くの白星を掴むことが出来るか。そして選手数増加につなげることが出来るか。
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