3月下旬、都内でボーイズリーグの全国大会が繰り広げられたが、その大会に出場してベスト16の成績を残したのが神戸ボーイズだった。
全国大会出場は17年ぶりということだったが、初戦で多摩川ボーイズに勝利。続く西松ボーイズには5対7と少し力が及ばなかったが、久しぶりの全国で16強入りのたしかな爪痕を残した。
指揮官である山崎守雄監督は、全国の舞台を通じて様々なことを感じたようだ。
「初戦は完璧な試合運びが出来た。ここは収穫でしたけど、続く2戦目は逆にすべて悪い方向に進んでしまった。選手たちはまだ中学生なので、調子の波があるのは当たり前ですが、いろんな経験をさせてもらいました」
チームをまとめる主将・竹内元希いわく、「冬は走り込みやティー打撃での振り込み。また春に向けて全力疾走などの基礎をやってきた」と土台作りを徹底して取り組んできたそうだが、神戸ボーイズの活動は基本的に土日祝日のみ。平日はグラウンドを使うことが出来ても、全体練習をやるわけではない。各選手に任せている状態だが、「親御さんとグラウンドで練習をしている選手はいます」と高い志をもって野球に向き合っているという。
とはいえ全員がそういったわけではないのがチームの課題の1つではあるが、神戸ボーイズはこれまで多くのOBがおり、高校野球や大学野球で活躍を見せている。
直近では、センバツ出場の東洋大姫路で主力となっている伏見 翔一外野手。春からは法政大に進学する逸材・槙野 遥斗投手(須磨翔風出身)。さらにU-18代表も経験した明治大・光弘 帆高内野手(履正社出身)などがいる。
将来、日の丸を背負うような選手が、神戸ボーイズで中学3年間を過ごしてきた。そうした選手がどうして生まれるのか。
「それは大人の接し方になると思います。神戸ボーイズの指導者のほとんどが三菱重工神戸で社会人野球をやっていました。なので、高いレベルの指導が出来るのはもちろんなのですが、あまりこちらからガンガン言わない。社会人野球では自分で考えて練習をしないといけなかったので、それをこのチームでもやるようにしています」
もちろん、最低限必要なことは伝えて、選手たちに覚えさせる指導は徹底している。そのうえで上のステージを見据えて、選手自らが考える力、習慣を養うことが出来る指導を意識しているという。
また中学生は成長期真っただ中。「3か月で急に変わる選手もいる」と何かをきっかけに心身が成長する選手も現れる。山崎監督はそうした変化を見逃さず、試合への出場機会を作ることで、成長のチャンスを与えるとともに、チーム内の競争を促すといった工夫も凝らしている。
一方で急成長するがゆえに、中学生の年代だと成長痛をはじめとしたケガのリスクも高まる。山崎監督も、そのリスクに注意を払っており、「痛くなったら、すぐに言いなさい」と指導するのみならず、練習から選手たちの様子を見て気になる素振りが見えれば声をかけることで、出来る限りケガを防ごうと取り組んでいる。
そうした意識もあり、神戸ボーイズは優勝を果たしたのじぎく大会からアシックスの新作スパイク・NEOCONNECT(ネオコネクト)を使うつもりだという。
通常の金具スパイクと異なり、かかと部分は樹脂スタッド4本を配置。これまでほとんどなかったハイブリッドソールが最大の特徴となっている一足。特にかかと部分が樹脂スタッドになっていることで、地面からの突き上げによる衝撃を緩衝。負担軽減なども期待される。
選手たちからは「足が楽だった」と期待通り負担軽減に繋がっているだけではなく、「滑らずにがっちりして動きやすかった」とパフォーマンスに対してもメリットがあったようだ。
山崎監督も「ケガはしてほしくないので、足に優しいスパイクだと思います」と足への負担を軽減する観点から樹脂スタッドが使われていることに納得の様子だった。
17年ぶりの全国大会で手ごたえと課題が明確になった神戸ボーイズ。集大成の夏で再び結果を残して全国大会出場へ。山崎監督は強い決意をもって挑むつもりだ。
「今回の全国大会をきっかけに、もう一度全国、次のステージを目指せるチームになれるように、さらなるレベルアップをしたいと思っています」
新たな一足の力も借りて、神戸ボーイズはさらなるステージへ駆け上げる。
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