初出場の熊本国府、自慢の粘り腰で目指せ「ジャイアントキリング」<明治神宮大会出場校紹介>
九州大会初優勝を飾った熊本国府
第54回明治神宮野球大会が15日に開幕する。九州地区からは大会初優勝を飾った熊本国府(熊本)が出場。九州の強豪を次々と倒して頂点に立った勢いで、開幕戦となる関東一(東京地区)戦に挑む。熊本で8季ぶりの頂点に立ち、創部18年目で初めて九州大会の決勝に進出し、九州チャンピオンにまで上り詰めたチームを紹介する。
多彩な勝ち方で九州の王者へ
九州大会は多彩な戦い方で勝ち上がってきた。初戦は序盤でリードを奪っての快勝。準々決勝は延長10回タイブレークの末に逆転サヨナラ勝ちを収めた。準決勝で逆転勝ちすると、決勝は相手を寄せ付けない快勝だった。特に準決勝での神村学園戦では後半から一気の攻めを見せる見事な逆転勝利。今夏甲子園で4強に入ったメンバーが多く残る強豪からの勝利は大きな自信となった。
熊本大会では初戦の2回戦から2試合連続でコールド勝ちを収めたが、準々決勝・鎮西戦、準決勝・ルーテル学院戦、決勝・九州学院戦はすべて逆転勝ち。いずれも8回以降で逆転する粘り強さも身上だ。
★熊本県大会の戦績
2回戦 11-2 天草工(7回コールド)
3回戦 11-1 岱志(5回コールド)
準々決勝 4-3 鎮西
準決勝 8-4 ルーテル学院
決勝 5-4 九州学院
★九州大会の戦績
1回戦 6-2 飯塚(福岡)
準々決勝 7-6 大分舞鶴(大分)
準決勝 7-1 神村学園(鹿児島)
決勝 5-1 明豊(大分)
4、5番の中嶋&岡本コンビが攻撃の柱
打線の中心は4番・中嶋 真人内野手(2年)と、5番・岡本 悠生外野手(2年)。4番の中嶋は4試合すべて安打をマークして、18打数9安打の打率.500を誇った。初戦の飯塚戦では先制打。神村学園戦では6回、右中間への逆転2点適時二塁打を放つなど、勝負強さもあり、チームの勝利に貢献してきた。
岡本は4試合14打数6安打の打率.429。大分舞鶴戦では1点ビハインドで迎えた10回裏無死満塁から中前への2点適時打を放って逆転サヨナラ勝ちをもたらした。頼れる右打者2人の前にいかに走者がおけるかがポイントになる。
打線全体では4試合で本塁打は1本だけと長打力があるわけではないが、コンパクトなスイングからの安打が多く、勝負強さと粘り強さがある。相手投手に多く球数を投げさせる「待球戦術」も駆使して終盤の逆転劇につなげてきた。
左右二枚看板で強敵封じ
投手陣は背番号1の右腕・坂井 理人投手(2年)と、背番号10の左腕・植田 凰暉投手(2年)で4試合を勝ち抜いた。坂井が飯塚、大分舞鶴戦で先発。神村学園戦では植田が先発し、決勝は坂井が先発した。
坂井は最速135キロ右腕。あまり左足を上げずに踏み出していくフォームでオリックス・山本 由伸投手(都城高出身)を参考にしたという。安定した制球力が武器で、決勝の明豊戦では、九州ではトップクラスの打撃力を持つ打線を相手に、112球6安打無四球1失点(自責0)の初完投勝利を挙げてみせた。三振はわずか2と、打たせて取る投球が冴えた。
181センチの長身左腕の植田は強敵・神村学園戦で先発して見事に1失点完投勝利。10安打を許したが、失点は押し出し死球の1点のみに抑えた。走者がいない時は打者に背中を見せ、センター方向に一瞬、顔を向けてから投球する独特な「変則トルネード投法」で、昨年育成ドラフト3位で巨人に入団した吉村 優聖歩投手(明徳義塾出身)に似ている。最速は129キロで、変化球もスライダーしか持たない左腕が、しっかり結果を出した。
初出場の明治神宮大会でも、熊本国府は自慢の粘りで終盤の逆転劇を狙う。
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