試合レポート

【東京】2回戦 日大二 vs 佼成学園

2023.10.15


日大二が粘りの二高魂の継承を示し、タイブレークで佼成学園を下す

<秋季東京都高校野球大会:日大二2-1佼成学園(延長10回タイブレーク)>◇14日◇2回戦◇コトブキヤST立川

この日から、2回戦となった秋季東京都大会。初戦では、都立清瀬に8対0の7回コールドゲームで快勝してきた佼成学園日大二青山学院に対して、初回に11点を奪うなどして14対2の5回コールド勝ちでの進出である。どちらも、いいムードで迎えた2回戦と言えよう。

日大二は鈴木 勝也投手(2年)、佼成学園は1年生左腕の熊谷 憲祐投手、ともに背番号11の投手の先発となった。初回は、ともに3者凡退で抑える、まずまずの立ち上がり。何となく、投手戦になっていくのではないかという雰囲気での試合の入りだった。

先制したのは佼成学園で3回。この回、先頭の7番・原島 響捕手(2年)が四球で出ると、バントと右飛で三塁まで進む。2死三塁となったところで、1番の元山 航太内野手(1年)が右前へはじき返して三塁走者を迎え入れる。試合の流れからして、これで佼成学園が主導権を取って進んでいくのではないかと思われた。

ところが、それ以降は両投手がここぞというところで踏ん張って、いくらか膠着状態になっていき、1対0のまま試合が進んでいった。佼成学園は4回から7回まで無安打。日大二も安打は放ったものの散発で、続いていかないので、なかなかチャンスは作り切れない。8回にも1番からの好打順で村岡 隼人内野手(2年)が内野安打で出て盗塁と捕逸で、この試合で初めて三塁まで走者を進めたが、あと1本が出なかった。

そしてその裏、佼成学園は内野安打と四球に2番・狩塚 光陽内野手(1年)の右前打などで1死満塁として追加点の絶好の好機を迎える。しかし、ここで鈴木勝は踏ん張って、相手中軸を遊飛と投ゴロに抑えて踏ん張る。野球ではよく、「ピンチの後にチャンスあり」と言うが、9回の日大二は1死から6番・細野 龍之介内野手(2年)が1死から中越え三塁打を放ち、2度目の1死三塁となった。ここで、7番に入っている鈴木勝自らが中前へはじき返して、ついに同点とした。さらに、バントと安打でチャンスを広げていったが、そこは、センターからリリーフした内島 獅王外野手(2年)に抑えられた。そして、佼成学園も9回裏に先頭を内野安打で出しながらも、バントが併殺となって1対1のまま、延長タイブレークに突入していくことになった。

10回、日大二は2番からで、樋口 結外野手(2年)は三塁へ転がすバントを決めて1死二、三塁。3番・鈴木 悠太外野手(2年)が左犠飛を放って三塁走者をかえす。その裏も、日大二の鈴木勝はバントで進められた後も、2人をしっかりと打ちとって0に抑えて、貴重な1点差を守り切った。まさに、辛抱の勝利だった。

この4月から、前任の田中吉樹監督から引き継いで指揮を執る、教え子でもある齋藤寛文監督は、「選手は、よく頑張りました。今年のチームのテーマは“継承”ということにしているのですが、これは田中先生の時代からの二高魂を継承していこうということです。二高魂というのは、苦しい時でも気持ちでつないでいこうということです。それが8回、9回の守りにも出たと思います。帽子のマークの“N”は、1度上がって、それから下がるけれどもまた上がっていくのだということです。それが二高魂だということです。そのことも田中先生から教えられて、今、それを自分が選手たちに伝えています」と、逆境をはね返していくことこそが、二高魂だということであり、そういう意味では、象徴的な試合だったともいえるのではないだろうか。齋藤監督の嬉しそうで満足げな表情も印象的だった。

佼成学園の藤田直毅監督は、「あれだけ、攻撃でミスがあっては勝てません。3、4点くらいの勝負になるかなと思っていたのですがね…。勝とうとしていないのかと、思えるくらいでした。チームの仕上がりとしては、例年に比べても決して悪くはないと思っていたのですがね。上位打線がこれだけ打てないと、点は取れませんよ」と、嘆いていた。それでも熊谷投手に関しては、予想以上によく投げて合格点だと評価していた。そして、「大反省をしなくてはいけない試合でした」と、出直しへ気持ちを向けていた。

取材=手束 仁

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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